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Global Perspective 2013
2013年10月22日掲載

「Firefox OS」スマートフォン「ZTE Open」日本でも提供開始

(株)情報通信総合研究所
グローバル研究グループ
佐藤 仁

2013年10月から中国メーカーZTEが提供しているFirefox OS搭載端末「ZTE Open」が、オンラインショッピングサイト「eBay」を経由して日本でも購入できるようになった。

日本で提供される「ZTE Open」

「Firefox OS」を対象にしたアプリケーション開発者の利用を想定し、ZTEが日本を含むアジア・オセアニア地域向けに提供を開始した。北米、欧州では8月から購入が可能だった。今回購入が可能になった地域は日本の他に韓国、台湾、シンガポール、インドネシア、マカオ、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム、ラオス、ブルネイ、オーストラリア、ニュージーランドである。「eBay」で価格は79.99ドル(関税、送料除く)である。

今回出荷される端末ではfastbootと呼ばれる機能が追加されており、この機能を使えば開発者が「Firefox OS」の独自のビルドで起動できるとのこと。Mozilla Japanのコミュニティで開発された「Firefox OS」の日本語化されたビルドを読み込ませて起動できる。

(図)「Firefox OS」を搭載した「ZTE Open」

(図)「Firefox OS」を搭載した「ZTE Open」

「Firefox OS」はブレークするのだろうか

「ZTE Open」は、2013年2月、Mobile World Congress 2013で発表され、2013年7月にはTelefonicaが中南米市場に投入した。価格は2年契約付きで69ユーロ(約9,000円)で販売する。プリペイドの場合は30ユーロ分の通話料付き、ポストペイドの場合は24カ月(2年)契約で月2.38ユーロ(2年で57.12ユーロ)の支払いとなる。「Firefox OS」を搭載した端末は新興国をターゲットにしていると言われており、Telefonicaが中南米で販売している他にも、ドイツテレコムがポーランドで販売している。日本でもKDDIが導入の予定を表明している。

2013年9月には日本でNTTドコモもついにiPhoneを販売開始し、3キャリアで扱うようになった。その影響かどうかは不明だが、NTTドコモからリリースされると言われていた「Tizen OS」の端末は2013年秋冬モデルでは登場してこなかった。

現在、多くのメーカーがAndroid OSを搭載したスマートフォンを国内外で販売している。世界でもスマートフォンのOSのシェアはAndroidとiOSで90%以上を占めている。さらにノキアの携帯電話部門の買収を発表したマイクロソフトは今後、「Windows Phone OS」のスマートフォンで攻勢をしかけてくることだろう。ますますOSでの競争は激しさを見せてくることだろう。

一方で、新たに「Firefox OS」を搭載した端末を開発、製造、試験、販売することは端末メーカーにとっても容易なことではない。むしろ新たなリスクの方が大きい。ユーザーの観点から見ても、何が何でも「Firefox OS」搭載のスマートフォンが欲しいという理由はないだろう。むしろ新しいOSでは端末に不具合が発生したり、サポートしていない機能があるのではないかという懸念が出てくる。

果たして「Firefox OS」は今後、国内外でどこまで浸透していくのだろうか。他にも「Tizen」、「Ubuntu」、「Sailfish OS」といった新たなスマートフォンのOSがこれから市場に投入されてくる可能性がある。これらの新たなOSを搭載した端末をどこのメーカーが開発し、どのような市場で受け入れられるのだろうか。そして、Android OSとiOSの寡占状態の市場はどのように変化(進化)していくのだろうか。引き続き注目が必要である。

(表)世界のスマートフォン OS出荷台数(2013年Q2)

(表)世界のスマートフォン OS出荷台数(2013年Q2)

(出典:ガートナー発表資料を元に作成)

【参考動画】

(参考)

*本情報は2013年10月19日時点のものである。

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