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Global Perspective 2013
2013年11月18日掲載

ミャンマーSEA Gamesに向けたミャンマー発「チンロン」ゲームアプリ

(株)情報通信総合研究所
グローバル研究グループ
佐藤 仁

2013年12月に東南アジア競技大会(South East Asian Games:SEA Games)がミャンマーで開催されることは日本でもいくつか報じられているので御存知の方も多いだろう。現地ではそれに向けて情報通信インフラをはじめとした社会インフラの整備が行われていた。

SEA Gamesに向けて、ミャンマーの地元企業2社(Zwenexsys lnternationalとTotal Gameplay Studio)がミャンマーの伝統的な娯楽、スポーツである「チンロン」のゲームアプリ「SEA Games Chinlone」を開発し、2013年10月25日に提供開始した。SEA Gamesのキャラクターらがチンロンを行うゲームで、Android、iPhone向けにアプリを提供している。

(SEA Games Chinlone)

 

ミャンマーの伝統的娯楽チンロン

チンロンとはミャンマーで1500年以上前から行われているそうで、路上で数名の若者らが娯楽として籐で作ったボールを蹴って遊んでいる(6人でやるのが正式らしい)。また見世物としての個人ショーが行なわれることや、競技規則に則った試合として行われることもある。チンロンのサークル、クラブのようなものも多数あり、ミャンマーでは人気の娯楽、スポーツである。チンロン財団というのもあり、今年で設立50年をむかえるそうだ。
恥ずかしながら、私は今年になって初めてミャンマーのチンロンの存在を知った。似たような娯楽は東南アジアや世界中である。日本での「蹴鞠(けまり)」も似ているのではないだろうか。

これからも期待されるミャンマーでのアプリ開発

ミャンマーでは民政移管後、通信分野も急速に発展してきている。携帯電話の加入者もあっという間に500万を突破した。それでもまだ人口普及率は10%未満であり、これからも成長が期待される。それと同時に中国や韓国、アジアの端末メーカーもミャンマー語対応の携帯電話、スマートフォンを販売している。スマートフォンは中古品でも大量に流出しているため「フィーチャーフォンを利用しないで、最初からスマートフォンを利用する」人も都市部では多い。

今回の「SEA Games Chinlone」もミャンマーの地元企業が開発した。「フィーチャーフォンを利用しないで、最初からスマートフォンを利用する」人が多いミャンマーでは、モバイルでコンテンツやサービスを提供することは、すなわちアプリを開発することである。

これからもミャンマーでは多くのアプリ開発事業者が登場するであろう。またミャンマーはまだ電力インフラなどに問題があるものの、海外企業のオフショアとしても注目されている。

ミャンマーで開催される東南アジア競技大会(SEA Games)に合わせて、地元企業がミャンマーの伝統的娯楽であるチンロンを素材にして、地元(ミャンマー人)向けにアプリを提供してきた。6,000万以上の人口を抱えるミャンマーは市場としても魅力的であり、開拓の余地も大きい。これからもミャンマーでは、ミャンマー企業によるミャンマー人向けのアプリやサービス、コンテンツは増加するだろう。引き続き注目していきたい。

(チンロンで遊ぶミャンマーの若者)

【参考動画】
チンロン

(参考)

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