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Global Perspective 2013
2013年11月22日掲載

アメリカの10代「ながら歩き」は「歩きスマホ」と「音楽」

(株)情報通信総合研究所
グローバル研究グループ
佐藤 仁

アメリカの「Safe Kids Worldwide」は2013年8月、アメリカでの10代の歩行時の行動に関する状況をまとめたレポート“Teens and Distraction: An In-Depth Look at Teens’ Walking Behaviors”を発表した(※1)。

アメリカの10代「ながら歩き」は「歩きスマホ」と「音楽」

Safe Kidsはアメリカ17州68の学校で34,325人の生徒(高校生14,930人、中学生19,395人)を対象に歩行時の行動に関する調査を行った。それによると高校生の5人に1人、中学生の8人に1人が「ながら歩き」を行っていることがわかった。

「ながら歩き」をしている時にやっていることは、「歩きスマホ」(39%)、「ヘッドフォンで音楽を聞く」(39%)、「電話(音声通話)」(20%)、「ゲーム」(2%)で、「歩きスマホ」と音楽で約80%と圧倒的に多かった。

「ながら歩き」をしているのは、「放課後(下校時)や週末」が76%なのに対して、「登校中」は47%と低い。つまり遅刻しては困るだろうから、スマホや音楽に気を取られている時間もないのだろう。

歩行中の「ながら歩き」が原因による死亡事故

「ながら歩き」は言うまでもなく危険である。

アメリカは日本よりも車社会である。日本のように「ながら歩き」をしていたら駅のプラットフォームに落ちて大惨事になったり、踏切で電車に気がつかずに死亡事故につながるよりも、車と衝突して死亡事故に繋がる方が多い。
女子生徒の方が男子生徒よりも「ながら歩き」をしている確率は高いのだが、歩行中の事故で死亡するのは男子生徒の方が女子生徒よりも多いことがわかった。

以下が2007年から2011年の各州での12歳から19歳の歩行中の死亡者数である。2011年では465人の10代が歩行中に事故で死亡したが、そのうち67%(312人)は都市部で、地方は32%(147人)であった(不明が6人)。これは都市部の方が車の往行が激しいことや、地方では家から学校まで遠いからスクールバスなどで通学する生徒が多いから歩行時の死亡が少ないのが要因であろう。

(表1)2007年から2011年の間に12歳から19歳の歩行中の死亡者数

(表1)2007年から2011年の間に12歳から19歳の歩行中の死亡者数

(出典:Safe Kids Worldwide)

求められる対応策:まずは注意喚起から

「ながら歩き」で歩行中に事故で死んでしまってからでは遅い。そのために、アメリカでも学校(教師)や親を通じての子供への注意喚起や生徒による意識改革は行われているようだが、相変わらず「ながら歩き」は減っていないようである。

教師や親向けの「Tips」を配布して生徒と話し合いを行ったり、高校生らが「プラカード」を作成して学校内や地域で注意喚起を目的とした「ながら歩き」防止のキャンペーンを行っている。プラカードには以下の文言が書かれている。

「One text or all could RUN it all」
(テキスト打ってると人生台無しにしちゃうかもしれないよ)

「Walk Smart, Arrive Alive」
(ちゃんと歩いて、無事に生きて到着して)

「Looku UP↑ Drivers aren’t always looking at you」
(上を向いて、ドライバーはいつもあなたを見てないよ)

もはや「ながら歩き」、「歩きスマホ」は日本だけの問題ではなく先進国を中心とした世界的な規模での問題として対応策が求められるのではないだろうか。

(図1)

(図1)

(出典:Safe Kids Worldwide)

【参考動画】

*本稿は2013年11月21日時点のものである。

※1 Safe Kids  “RESEARCH REPORT: TEENS AND DISTRACTION (August 2013)” http://www.safekids.org/research-report/research-report-teens-and-distraction-august-2013

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