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Global Perspective 2013
2013年12月24日掲載

ナイジェリアでの「Free Zone」:OTTと通信事業者のWin-Win関係

(株)情報通信総合研究所
グローバル研究グループ
佐藤 仁

2013年12月、ナイジェリアの通信事業者Airtel NigeriaはGoogleと提携してインターネットアクセスサービス「Free Zone」の提供を開始した。「Free Zone」は既にフィリピン、インドなど新興国で提供されている。

Googleと通信事業者が提供する「Free Zone」

ナイジェリア3位の通信事業者Airtel NigeriaとGoogleが提供する「Free Zone」は、インターネットに接続できる携帯電話端末から、Google検索、Gmail、Google+に無料で利用できるサービスである。但し、Google検索結果から先へのリンク、Gmailで添付を開封する時にはデータ通信費用が発生する。専用のSIMを利用し、主にフィーチャーフォンをプリペイドで利用している顧客を対象にしている。

ナイジェリアの人口は約1億6,000万で携帯電話加入者数は約1億2,120万(普及率:約76%)である。この加入者数というのはSIMカードの販売数であり、国内の主要通信事業者4社が熾烈なキャンペーンなどで利用者の獲得競争を行っているため、1人で複数枚のプリペイドSIMカードを保有していることが多いため、実際の人口に対する普及率はもう少し低い。

Airtel Nigeriaは同国3位(加入者数:約2,300万 シェア約18.7%)だが、ユーザー獲得に向けて様々な取組みを行っている(参考レポート)。

GOTTの提供するサービスに頼る通信事業者

今回のAirtel Nigeriaが提供する「Free Zone」は、Googleのサービスへアクセスする際のデータ通信が一部無料になるものである。このサービスモデルは新興国で普及しつつある。新興国において、市場での競争は激化するものの通信事業者間での差別化は非常に難しくなってきている。このようにOTT(Over The Top)と呼ばれるGoogleやらFacebook、WhatsAppなどのサービスにアクセスする際にデータ通信が無料、または特別プランの料金でアクセスできるサービスが多数ある。そしてユーザーからするとプリペイドSIMカードの場合、新興国であっても通信事業者はどこでも良いのである。「ダムパイプ(土管)」としての通信事業者間に大差はないのだ。通信事業者側は何かしらの差別化を行ってユーザーを獲得しなければならない。そこでGoogleやらFacebook、WhatsAppなどのOTTにアクセスする際に特別料金プランを提供する。新興国でもこれらのOTTサービスは多く利用されており、OTTサービス側も新興国でのユーザー獲得に繋がることからWin-Winの関係でユーザー獲得ができる。特にこれらのOTTサービスは先進国ではPC、モバイルともにユーザー獲得は容易であるが、新興国のようにPCからインターネットにアクセスする習慣がない地域や、フィーチャーフォンを利用している多くの人を取り込むことが課題であるから、現地の通信事業者との提携は好ましい。

これからも新興国では、このようなOTTプレーヤーと通信事業者の提携によるモバイルからのインターネットアクセスとそれらに向けた料金プランやサービス提供は増加するだろう。

(図1)airtel Free Zone

(図1)airtel Free Zone

(出典:Airtel Nigeria)

【参考動画】
Googleのナイジェリアでの活動を伝えるニュース(2013年)

(参考)

*本情報は2013年12月23日時点のものである。

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