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2013年7月31日掲載 |
フィリピンの通信事業者Globeが「ヤシの木」の形状をした携帯電話基地局を導入していく。Outdoor Distributed Antenna System (ODAS)と呼ばれる携帯電話基地局をマニラ近郊のマカティ市のUrdaneta Villageで設置する。「ヤシの木」の形をしているので、南国フィリピンの町並みにフィットするので基地局だとはすぐにわからないため、町の景観を損ねることも少ない。 世界中にある「木」に見せかけた携帯電話基地局フィリピンの通信事業者Globeは基地局のリプレースと新設のために今後1年間で7億9,000万ドル(約790億円)をかけて「ヤシの木」の形状をした基地局をフィリピン全土で設置していく予定である。「外観を気にすることなく、携帯電話の基地局だとわからないような基地局を設置することができる」と同社Emmanuel Estrada氏(Head of Network Technologies Strategy)は述べている(※1)。 まだまだ不安定なモバイルでのインターネット接続Globeはまず7億ドル(約700億円)をかけてマニラ周辺の基地局のリプレースとネットワーク増強を行う。既存の3G網の他に4G(LTE)網の強化も行う。マニラ周辺のネットワークが強化された後に、300ゾーンでの接続ギャップの調整を行う。3Gと4Gのネットワークを強化することによって利用者がデータ通信を行う際に不快感なく利用できる環境の構築を行っていく。 モバイルネットワークのライバルはWi-Fiスポットスターバックスのようなコーヒーショップやレストランで無料または安価で利用できるWi-Fi(公衆無線LAN)の方がモバイルネットワークよりもはるかに安定していて高速で通信できることが多い。そのため若者を中心に多くの人がWi-Fiを無料または安価に利用できるコーヒーショップやレストランのような「スポット」に行ってインターネット接続(データ通信)をすることになる。そうするとユーザは通信事業者が提供するデータ通信のプランに加入しないで、Wi-Fiスポットでデータ通信を行うようになる。つまり通信事業者としてはデータ通信費で収益を上げることができなくなる。しかし通信網が安定しないで高速なインターネット接続ができないのでは、それも仕方がない。そのためにも通信事業者としては、「あらゆるところで」、「ストレスなく」、「高速通信ができる」ためのインフラを構築する必要がある。そのためにも多額の投資を行って基地局を設置することは不可欠である。 従来、フィリピンのような新興国では音声電話とSMS(ショートメッセージ)が利用できる2GのプリペイドSIMカードを大量に販売することに通信事業者は躍起になっていた。フィリピンの携帯電話加入者数は約1億だが、3Gの加入者は約950万と全体の10%以下である。LTEも導入しているが、まだ20万程度でさらに低い。つまり95%以上のユーザが2Gで主に音声電話とSMSを利用しており、彼らが携帯電話やスマートフォンでインターネット接続する際はWi-Fiを利用していることが多い。現在では多くの中古スマートフォンが同国の市場に流通しており、お金持ち以外でもスマートフォン入手のハードルは下がってきている。彼らはスマートフォンを持ってWi-Fiスポットに行き、そこでインターネット接続を行っている。Wi-Fiスポットの方が安くて速いからだ。 あらゆるところでの安定した高速なインターネット接続を目指して:次は料金通信事業者がインフラを整備し、あらゆるところで快適に高速通信を行えるようになったらユーザの利便性も向上する。今までWi-Fiスポットという「点」でのインターネットアクセスだったが、携帯電話網が整備されることによって「面」でのインターネットアクセスが可能となる。 【参考動画】 *本情報は2013年7月30日時点のものである。 ※1 "The use of tree-shaped cellphone towers is part of Globe Telecom's efforts to improve wireless signal in exclusive villages in line with our network transformation initiative," ※2 例えば、以下のサイトで「木」に見せかけた携帯電話基地局を紹介している。 |
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