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Global Perspective 2013
2013年8月6日掲載

「ネット依存」:あなたは大丈夫ですか?

(株)情報通信総合研究所
グローバル研究グループ
佐藤 仁

電車に乗っていて周囲を見渡すと大半の人が携帯電話やスマートフォンの画面を覗き込んでいる。その光景は異様である。中高生の「インターネット依存」が51万8,000人(推計)を超えていると厚生労働省研究班はインターネット依存に関する調査結果を2013年8月1日に発表した。インターネットが一般の生活に普及してもうすぐ20年が経とうとしている。「ネット依存」という問題が中高生を中心に広がってきている。

中高生51万8,000人が「ネット依存」

厚生労働省研究班はインターネット依存に関する調査結果を明らかにした。
2012年10月から2013年3月にかけ、中高計264校を無作為に抽出し約14万人に調査票を配り179校の約10万人から有効回答を得た。中高生に対して以下の8項目のうち5項目以上「はい」がある場合は「病的な使用」、すなわち依存状態になっていると判定した。

(厚生労働省研究班が実施した中高生へのアンケート項目)

(厚生労働省研究班が実施した中高生へのアンケート項目)

パソコンやスマートフォンなどでゲームや電子メールなどに夢中になりすぎてやめられない「ネット依存」の中高生は全国に約51万8,000人いると推計した。これは日本の中高生の8.1%にあたる。「ネット依存」の割合は中学生が6%、高校生が9.4%。男女別では男子が6.4%、女子が9.9%。女子が高いのはチャットやメールを多く使うためとのことだ。

「ネット依存」中高生別

中学生 6.0%
高校生 9.4%

「ネット依存」男女別

男子 6.4%
女子 9.9%

中高生の「ネット依存」について大規模な調査結果が出るのは初めてで、同じ研究班が行った20歳以上の大人の推計値と比べると、中高生の割合は約4倍とのこと。つまり中高生の方がネットに依存した生活を送っている。大人の方が仕事が忙しくて、ネットに時間を割けないのだろう。もしくは仕事でパソコンを見つめていることが多くて、仕事以外ではパソコンやスマートフォンを見たくないという人が多いのかもしれない。

「ネット依存」中高生の59%が「睡眠の質が悪い」と答えていて、依存がない人の2倍近くになった。「午前中に調子が悪い」は24%で依存がない人に比べ3倍近い。「睡眠時間が6時間未満」と回答したのは43%。

「ネット依存」中高生の症状の割合

「ネット依存」中高生の症状の割合

深夜まで睡眠時間を削ってパソコンやスマートフォンでインターネットにアクセスしているのだろう。そしてパソコンやスマートフォンを寝る直前まで見ていると頭が冴えてしまって寝つきが悪いから余計に眠ることが出来なくなるという悪循環に陥ってしまっているのだろう。

中高生の平日1日のネット平均利用時間は「5時間以上」が男子中学生で8.9%、女子中学生で9.2%。高校生では男子13.8%、女子15.2%と増加した。休日になると中学生が13〜14%、高校生では20%以上が5時間以上ネットにアクセスしている。

「5時間以上」ネットを利用している中高生

「5時間以上」ネットを利用している中高生

それではインターネットにアクセスをして何をしているだろうか?
以下がその項目である。

インターネットにアクセスをして何をしているだろうか?

(公開情報を元に筆者作成)

スマートフォン、1日何回見ますか?

電車の中、学校、職場、街の中、あらゆるところで携帯電話やスマートフォンの画面を見つめている人が多い。ためしに電車に乗ったときに、周囲を見渡してみると、中高生から大人まで老若男女を問わず、本当に多くの人が携帯電話やスマートフォンの画面を凝視していることに気が付く。数えてみるとあっという間に10人を超えるのではないだろうか。

アメリカOracleのeloqua(2013年7月14日)によると、1日平均150回携帯電話やスマートフォンの画面をチェックしているとのことだ(※1)。24時間起きていたとしても、1時間で6.25回だから、10分に1回以上携帯電話やスマートフォンの画面をチェックしていることになる。15時間起きているとして1時間に10回で6分に1回は画面をチェックいるということになる。もはや携帯電話やスマートフォンは生活の一部であり、それら無しでは生活もできないのではないだろうか、という数字である。
 アメリカの調査結果だから、どのような目的でチェックするかは日本と異なるがメッセージ(メール)でのチェックが1番多くて1日平均22回である。

どのような内容で携帯電話やスマートフォンをチェックする1日の平均回数

どのような内容で携帯電話やスマートフォンをチェックする1日の平均回数

(出典:Oracle eloqua)

専門医に相談

携帯電話やスマートフォンでのインターネットアクセスが当たり前の現在はインターネットが日常生活の中の一部となっている。これは中高生だけではなく大人も同じである。インターネットがなかった時代に比べると生活スタイルも仕事も激変した。それは必ずしもプラス面だけではなく「ネット依存」というマイナス面も登場してしまった。「ネット依存」は日本だけでなく韓国や中国でも大きな問題になっているようだ。

それでは「ネット依存」の問題にどのように対処したらよいのだろうか。専門家に相談するのが一番良いだろう。「ネット依存」の治療については「国立病院機構久里浜医療センター」が有名である。同病院の樋口進院長が監修した「ネット依存症のことがよくわかる本」という本が2013年6月に講談社から発刊されているので一読してみるのも良いかもしれない。

(参考)

【参考動画】

*本情報は2013年8月5日時点のものである。

※1  Oracle eloqua(2013) Jul 14, 2013, “How Many Times Do You Check Your Mobile Phone Per Day?
”http://blog.eloqua.com/mobilephone/

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