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Global Perspective 2013
2013年9月3日掲載

関東大震災から90年:震災時の通信手段を確認しておこう

(株)情報通信総合研究所
グローバル研究グループ
佐藤 仁

2013年9月1日は、1923年(大正12年)に発生し約10万5,000人の犠牲者を出した関東大震災から90年目である。日本では90年の間に多くの震災をあちこちで経験した。最近では、2011年3月11日の東日本大震災であろう。9月2日(月)に放送されたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」において東日本大震災の日がテーマであった。短いドラマの中で、あの日を思い出した人も多いのではないだろうか。

「天災は忘れた頃にやってくる」と言われている。もう一度、震災に備えた対策を忘れていないか考えてみたい。

電話以外の通信手段の準備を

NHK連続テレビ小説「あまちゃん」で東日本大震災を扱ったシーンにおいて、震災後、携帯電話(音声通話)はつながらないで、メンバーの1人の家族の安否はファンがブログで情報発信して確認したというシーンがあった。

携帯電話や固定電話は、このような大震災の時には輻輳(ふくそう)してしまい、つながりにくくなってしまうことは多くの日本国民が東日本大震災で学んだことだろう。電話以外の通信手段を確保し、家族や友人、知人らと電話以外での通信手段による安否確認ができるように日頃から訓練しておこう。例えば、携帯電話のメール、TwitterやFacebookといったソーシャルメディア、LINEのようなメッセンジャーアプリなど「電話以外」の通信手段はたくさんある。そしてそれらは東日本大震災時にも役立ったものが多い。このような「電話以外」の通信手段は震災が発生して突然利用できるようになるものではない。日常から使いこなしておいた方が良いだろう。

安否確認ツールを思い出そう

震災が発生すると、通信事業者が「災害伝言ダイヤル」、「災害用伝言板」などを提供する。またGoogleやソーシャルメディアなども安否確認サービスを提供し、活用された。これらは普段から利用して慣れるということはできないが、震災があったら「あ、そういえば災害伝言ダイヤルがあったな」と思い出せるようにしておこう。

(参考) 通信事業者が提供する災害時のサービスの例

緊急地震速報に「声」導入

NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、イー・アクセスの携帯電話4社は2013年7月11日、「緊急地震速報」の警告音に、現在のブザー音に加えて声を使った警報音を順次導入すると発表した。気象庁の調査によると、緊急地震速報を受信した手段としては、「スマートフォンを含む携帯電話が73.8%」と最も多い回答となっている。2位の「テレビ」が17.5%であるから、圧倒的に携帯電話で地震速報を受信していることがわかる。ブザー音の後に「地震です」という音声を付け加えることで、緊急地震速報のブザー音を知らない人でも地震の発生に気が付くようになる。

震災に備えた平時からの準備

関東大震災から90年が経過した。当時は固定電話すら普及していなかった時代である。21世紀の現在は電話の他にも様々な通信手段があり、瞬時に情報は世界中に発信することができる。90年前とは通信手段も環境も全く異なる。

様々な通信手段だが、震災が発生してパニックになっている時に突然使えるものではない。日頃から慣れておくと良い。家族と震災時のコミュニケーションについてもう一度話し合っておくとよいだろう。そして9月3日の「あまちゃん」では、電話がようやくつながったが、「ごめん、もうすぐ電池が切れる」と携帯電話を切らなくてはならないシーンがあった。携帯電話は充電しておいた方が良い。そして家や職場に携帯電話充電器を用意しておくと良いだろう。

もちろん通信手段以外にも帰宅方法、避難場所、飲食料の確保など重要なことはたくさんある。

(表1)関東大震災以降に日本を襲った主要な大震災

(表1)関東大震災以降に日本を襲った主要な大震災

(出典:出典:内閣府、警察庁、消防庁などの公開情報を元に筆者作成)

*本情報は2013年9月3日時点のものである。

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