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Global Perspective 2014
2014年3月31日掲載

渋谷交差点で全員が「歩きスマホ」したらどうなる?:NTTドコモのシミュレーション

(株)情報通信総合研究所
グローバル研究グループ
副主任研究員 佐藤 仁

NTTドコモは2014年3月28日、「歩きスマホ」の事故防止およびマナー向上の取り組みとして渋谷の交差点で全員が「歩きスマホ」だったらどうなるか、という内容のシミュレーションCG動画「全員歩きスマホin渋谷スクランブル交差点」を公開した。

日本でも有数の通行量を誇る「渋谷スクランブル交差点」で、1,500人が「歩きスマホ」しながら横断した場合の検証CG動画である。まずはNTTドコモが作成した以下の動画を見てみよう。

【参考動画】
全員歩きスマホin渋谷スクランブル交差点:
もしもスクランブル交差点を横断する人が全員歩きスマホだったら?(NTTドコモ)

回避、衝突から混乱へ

愛知工科大学工学部情報メディア学科小塚一宏教授が協力して動画が制作された。横断する人の身長・体重を日本人の成人男女平均の間をとり、歩く速度は「急ぎ」「普通」「ゆっくり」の3タイプとした。歩行速度や、通常時と「歩きスマホ」時の視野比較、対象物の認知距離の数値をより現実的な条件に近づけながら演算エンジンを活用して検証した。

青信号点灯の46秒間に「ハチ公前方面」、「井の頭線方面」、「道玄坂方面」、「センター街方面」、「原宿方面」の5方面へ向かって行く1,500人の横断者が「歩きスマホ」をしながら信号を横断していく。最初は小さな回避や衝突が、やがて多くの横断者が横断できないという混乱につながっていくことがわかる。

その結果、以下の結果となった。

横断に成功した人は半分もいない。その多くの人が衝突、転倒などで46秒の間に信号を渡りきれなかった。

動画によると「歩きスマホ」の場合、1.5mまで接近しないと対象物を認知することはない、また「歩きスマホ」時の視野は通常時に比べて1/20 になってしまうそうだ。

渋谷のスクランブル交差点や駅など人が多いところほど「歩きスマホ」は多い。そしてそれだけ事故が発生する確率も高い。シミュレーションの中で、回避できず衝突した場合の起こりうる行動として「あやまる」、「スマホを落とす」、「倒れる」の3通りとしていた。衝突や転倒は自分だけでなく、相手にも怪我をさせてしまう可能性があり非常に危険である。また「歩きスマホ」のせいで信号を横断できなかった場合、自動車通行の妨げによる道路の混乱を引き起こす。しかし「歩きスマホ」をしなければ、このようなリスクを回避できる。

それにしてもどうして自ら進んで危険の多い「歩きスマホ」をするのだろうか。交差点を横断する数十秒間くらいスマートフォンを見ないで安全に歩けばいいのに。

*本情報は2014年3月28日時点のものである。

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