ホーム > Global Perspective 2014 >
Global Perspective 2014
2014年11月5日掲載

名古屋の中学生が「歩きスマホ」でホームから落下

(株)情報通信総合研究所
グローバル研究グループ
副主任研究員 佐藤 仁

名古屋の地下鉄鶴舞線御器所駅で2014年10月30日、スマートフォンを操作しながら歩いていた中学生がホームから転落する事故があったと中日新聞(2014年10月30日)が報じている(※1)。いわゆる「歩きスマホ」「ながらスマホ」による事故である。短い記事なので以下に引用する。

「スマホに夢中、中学生がホームから転落 御器所駅」

30日午後6時20分ごろ、名古屋市昭和区の地下鉄鶴舞線御器所駅に電車が到着する直前、ホームの最前列で待っていた市内の中学1年の男子生徒(13)が線路に転落した。運転士が非常ブレーキをかけたが、電車は転落場所を30メートルほど通過。中学生はホーム下の空間に逃げ込み、無事だった。

市交通局によると、生徒は「スマートフォンを操作していたら落ちてしまった」と話している。生徒は上小田井方面行きのホームに立っており、電車の到着を知らせる放送が流れた後、画面を見ながら1メートルほど前進し、誤って落ちたという。

市営地下鉄では昨年8月、名城線平安通駅で酒に酔った20代の女性がスマートフォンを使いながら歩き、ホームから転落してけがをする事故があった。市交通局は、携帯電話や音楽プレーヤーに夢中になると電車に接触する危険性があるとして、注意喚起のポスターを駅構内や車内に掲示するなどしている。
(中日新聞 2014年10月30日より引用)

生徒はホーム下の待避できる場所に逃げ、無事だったそうだ。一時鶴舞線全区間の運転が見合わせとなったが、乗客約500人にもけがはなかった。2013年10月には東京都で携帯電話を操作していた男性が踏切に進入し、電車にはねられ死亡する事故もあった(参考レポート:「歩きスマホ」より大切なこと)。また2014年7月には「自転車スマホ」で高校生が老女に激突して大けがを負わせる事故があった(参考レポート:恐怖の「自転車スマホ」で高校生を書類送検)。

電車のプラットフォームでは「歩きスマホ」の注意喚起をしたポスターをよく見かけるようになった。また電車内、駅ではアナウンスで注意を呼び掛けている。それでもいっこうに「歩きスマホ」は減らない。老若男女、多くの人がスマートフォンの画面にくぎ付けで歩いている。スマートフォンにくぎ付けでは注意散漫になり、今回のような事故が多発しかねない。最近ではプラットフォームには電車に接触しないようにホームドアを設置している駅も増加しているが、それでもまだ100%ではない。またホームドアがあるから線路に落ちないからといって、駅で「歩きスマホ」をしても良いということではない。他人に接触して事故につながりかねない、迷惑をかけることでは同じである。事故のあった午後6時20分頃はまさに通勤客が帰宅途中の電車である。それを運転見合わせにすることによって多くの人が迷惑を被ったことであろう。

命をかけてまで「歩きスマホ」をやる必要はないことなど、みんな頭では理解しているはずである。そして駅や電車内での「歩きスマホ」注意喚起のアナウンスも耳には届いているはずである。しかし、それでも「わかっちゃいるけど、やめられない」のだろう。今回の中学生は無事だったが、それは結果論である。死んでからではもう後悔もできない。もうそろそろ命がけの「歩きスマホ」は止めてはいかがだろうか。

*本情報は2014年10月31日時点のものである。

※1 中日新聞(2014年10月30日)「スマホに夢中、中学生がホームから転落 御器所駅」
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2014103090234119.html

このエントリーをはてなブックマークに追加
▲このページのトップへ
InfoComニューズレター
Copyright© 情報通信総合研究所. 当サイト内に掲載されたすべての内容について、無断転載、複製、複写、盗用を禁じます。
InfoComニューズレターを書籍・雑誌等でご紹介いただく場合は、あらかじめ編集室へご連絡ください。