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Global Perspective 2014
2014年12月25日掲載

「歩きスマホ」は「ひったくりのターゲット」にされやすい

(株)情報通信総合研究所
グローバル研究グループ
副主任研究員 佐藤 仁

「歩きスマホ」をしている女性を狙ってひったくりを繰り返していた被告が、『「歩きスマホ」をしている人は盗みやすい』と供述していると読売新聞(2014年12月22日)が報じている(※1)。短い記事なので以下に引用する。

歩行中にスマートフォンを操作している女性を狙ってひったくりを繰り返したとして、大阪府警浪速署は、大阪市浪速区浪速西、無職松田裕樹被告(26)(起訴)を窃盗容疑で逮捕し、22日に最終送検した。松田被告は「操作しながら歩く女性は狙いやすかった」と容疑を認めているという。同署によると、松田被告は6月23日未明、大阪市中央、浪速両区の路上で、スマホを操作しながら歩くなどしていた20歳代の女性3人からスマホやかばんなどを盗んだとして、11月10日に逮捕。その後の捜査で6件の余罪が判明した。計9件の被害額は約60万円。
(読売新聞 2014年12月22日より引用。下線筆者)

「歩きスマホ」をしていると注意が散漫になる。周辺の人や物体を察知する能力が通常に歩いているよりも遥かに鈍くなる。「歩きスマホ」で視線も気持ちもスマートフォンに集中しているから当然である。そのため、ひったくり犯が来ても気が付きにくい、またひったくられた後も、反応が鈍くなる。注意散漫で無防備であることから、ひったくり犯から見たら格好の標的にされてしまうだろう。

「歩きスマホ」はひったくり犯の標的にされるだけでなく、歩行者や自動車などへの注意も散漫になっていることから事故にも遭いやすい。また「歩きスマホ」で自分が怪我するだけでなく、ぶつかって相手に怪我をさせてしまうこともあり得る。

インターワイヤードは2014年12月19日、「歩きスマホ」に関するインターネットアンケートの結果を発表した(※2)。それによると「歩きスマホ」をしていて危ないと思う/思ったことがある人に、実際に起きた「危なかったこと」を尋ねてみると、

  • 「人にぶつかった」19.5%
  • 「物にぶつかった」17.2%
  • 「段差を踏み外した」10.5%

44.3%が実際に危ない目にあっていた。「ひったくりや盗難の被害」に遭ったと回答した人はいなかったようだが、これからはこのようなアンケートの項目に「ひったくりや盗難の被害」という回答が多数出てくるかもしれない。

また、同社のアンケート結果で、他人の「歩きスマホ」で受けた「危険・迷惑行為」を尋ねてみると、

  • 「前の歩きスマホの人が歩くのが遅くてイライラした」40.4%
  • 「人がぶつかってきた」30.0%
  • 「前の歩きスマホの人が突然止まって驚いた」27.7%

と、多くの人が他人の「歩きスマホ」には迷惑している。

また、他人の「歩きスマホ」を見たことがある人は、

  • 「危ないから、やめてほしい」71.5%
  • 「危ないから、できるだけ控えてほしい」22.8%

と、9割以上が『やめて・控えてほしい』と思っている。

注意散漫になりがちな「歩きスマホ」が原因で「ひったくりや盗難の被害」に遭うのも困るが、そもそも「歩きスマホ」をやっていても、いいことは何もない。みんな、頭では「歩きスマホ」が危険なことを理解しているのだが、辞められないのだ。年末年始くらいスマートフォンを家において出かけてみてはいかがだろうか。

*本情報は2014年12月22日時点のものである。

※1 読売新聞(2014年12月22日)「ひったくり9件「狙いやすい」女性歩きながら…」
http://www.yomiuri.co.jp/national/20141222-OYT1T50094.html

※2 インターワイヤード(2014年12月19日)「歩きスマホ」に関するアンケート
http://www.dims.ne.jp/timelyresearch/2014/141219/

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