ネット社会のさまざまな問題を考える −シンポジウム− (最初のページ)

II. パネルディスカッション

1.はじめに
 東京大学教授 小林宏一

パネルディスカッション/小林

 20世紀は、現実社会、実体社会という一層構造でした。そしてネットワークは、その活動に寄与するもの、埋め込まれて役立つものという位置づけでした。それに対して、本日のテーマであるデジタル社会、ネット社会は、現実社会、実体社会の上に、別次元のものとして形成されつつあります。そういう二重構造の中で、われわれは両方に足を突っ込んで生きていかなければならないという過程におかれているわけです。
 加えてネット社会は極めて複雑であり、この数年来、20世紀の現実社会における市場経済の秩序が、上層にあるネット社会の中に進出しようとし始めています。その象徴的な例が、AOLによるタイムワーナーの買収です。
 そういった現状を踏まえて、本日お話しいただくパネリストの方々は、現実の共同体的社会からも競争社会からも切れたところで、「電縁広場」の形成にコミットされている方々です。まずは、それぞれの体験や経験を踏まえて、今回のテーマについて、ご発言をお願いします。