2002年月11号(通巻164号)
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世界の移動・パーソナル通信T&S
<世界のニュース:市場・企業>

米ウェリファイ・ワイヤレス、
子供向け腕時計型GPS端末を市場投入

 米国ウェリファイ・ワイヤレス(Wherify Wireless)社は、GPS内蔵の双方向通信端末を市場投入した。腕時計型をしており、子供に身につけさせることを想定している。これにより親がインターネットもしくは電話で子供の居場所を確認することができる。また子供も911コールが発呼でき、警官を速やかに派遣することが可能となる。すでに2002年7月24日から注文を受け付けている。

 端末は防水かつ耐切断仕様となっている。軽量を売り物にしているが、重さは発表されていない。3つ並ぶボタンの両端2つを同時に3秒間押し続けることで、911が発呼される。また小さな子供の利用を前提としているため、本人が意図せず911コールをしないように911コールをオフにする機能がある。腕から外す際には、付属の鍵もしくはリモート通信で行う。犯罪に遭った場面を想定し、無理矢理に端末が腕から外された場合にはアラートが発信される機能も装備している。

 最低契約期間は1年間で、端末価格は399ドル。これにサービス利用料金がかかる。料金プランは下記の表のとおりである。日本の「ココセコム」が月額基本料金500円、位置検索料金がインターネット利用で1回100円(月2回まで無料)、センター利用で1回300円であるのと比較すると、月額基本料は高いものの、高頻度ユーザーにとっては割安である。

 このサービスの通信にはCDMA網が使われており、GPS機能にはサーフテクノロジー(SiRF Technology)社のサーフスター?(SiRFstar?)技術を採用している。同社は車両位置捕捉用や、アルツハイマー患者用の類似の端末を開発中としている。また、販売網についても現在準備中としているが、ページャー産業が衰退した現在、かつてページャーを扱っていた販売店がその代役としてこの商品を位置付けるものと見込んでいる。
こうした端末が市場に出てくる背景として、2002年夏に米国で3件の児童誘拐事件が発生したことから子供を持つ親がこうした話題に敏感になっている、という事情がある。緊急通報と位置情報の組み合わせはE911の本来の目的に沿ったものであり、こうしたベンチャー企業の取り組みが米国の位置情報サービス市場を成長させる契機となる可能性がある。

図表

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移動パーソナル通信研究グループ
 リサーチャー 岸田 重行

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