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InfoComモバイル通信T&S

2010年6月号(通巻255号)

サービス関連(通信・オペレーション、製品・端末、コンテンツ・放送、その他)

■QoS料金モデルの先進動向とその可能性

目下、通信事業者は現行の料金モデルの閉塞感から新たに持続可能な料金モデルを模索している。そのような状況の中で、新たな料金モデルの萌芽となる先進事例が出てきている。本稿では、通信事業者が直面している市場環境を整理しつつ、QoS料金(注)モデルの先進動向について概説すると共にその可能性を考察する。

■LTE World Summit 2010
〜「LTE元年」、注目されるTeliaSoneraのLTE戦略

家電業界では、3Dテレビの本格的な販売が開始されたことから2010年は「3Dテレビ元年」と言われている。その他の業界でも「電子出版元年」など「元年」と称される様々なトレンドが誕生しているようだが、通信業界にも存在する。米国のベライゾン・ワイヤレスや日本のNTTドコモなどが2010年内にLTEの商用サービスを開始すると発表するなど、通信業界にとって2010年は「LTE元年」と言われている。その「LTE元年」を迎える前の2009年12月14日に、世界に先駆けてLTEの商用サービスを開始したのが北欧諸国を中心にモバイルサービスを提供している大手モバイル・キャリアのTeliaSoneraである。同社が、ストックホルムとオスロでLTEの商用サービスを開始したニュースは報道各社が大きく取り上げたが、その詳細に関しては殆ど伝えられていなかった。詳細が分からないため、一部では「本当にLTEサービスを開始しているのか?」といった疑問が出るくらいであった。その中で、TeliaSonera は、2010年に入って最初のLTE関連カンファレンスであるLTE World Summit 2010(オランダ、アムステルダム)に参加し、同社のLTEサービスの現状および今後の戦略に関して発表した。

■欧州携帯電話事業者のワイヤレスM2M戦略
〜グループのリソースを活かし、グローバルに事業展開

本誌2009年11月号で米国主要携帯電話事業者におけるM2Mの取り組みを紹介したが、欧州でも2009年以降、携帯電話事業者各社によるM2Mの取り組みが活発化している。欧州では、すでに20年前からGSM/GPRSを利用したM2Mアプリケーションは存在していたが、いずれのアプリケーションも1回の通信当たりのデータ量は少なく、インタラクティブ性も低いことから、携帯電話事業者の役割は、センサーやメーター等の端末から企業のバックオフィス・システム間のデータを伝送する「ビット・パイプ」にすぎなかった。しかし近年、監視カメラやインターネット対応の車載システムなど、常時接続により大容量の映像や位置情報などのデータを伝送する高度なアプリケーションが登場し、より高速かつ遅延の少ない3G/HSPAのようなネットワークの需要が高まったことや、従来のM2Mの仕組みが活用可能なネットワーク機能をバンドルした情報家電が本格普及に向かっていることなどを背景に、大手の携帯電話事業者を中心に従来のM2M事業を見直し、新たな戦略を打ち出す動きが出てきた。今のところ、欧州のM2M市場を牽引しているのは、ボーダフォン、オレンジ、T−モバイル、テレノールといった事業者である。

■グーグル、「Google TV」を発表
〜テレビとWebの融合サービスは普及していくか

グーグルは2010年5月20日に開催された「Google I/O 2010」にて、テレビとWebを融合したアンドロイドOSの新たなプラットフォーム「Google TV」を発表した。「Google TV」対応の端末はソニーやスイスのロジテックから2010年秋に販売される見通しである。ただし、テレビとWebを融合したサービスは様々な事業者が提供しているが、本格的な普及には至っていない。本稿では「Google TV」の概略の紹介と共に、今後のテレビとWebの融合サービスの動向について概説する。

■ICT経済、自律的な回復の兆し
〜ICT設備投資、リーマン・ショック前の9割に回復

6月10日に内閣府より発表された2010年1〜3月期の実質GDP(2次速報値)は前期比1.2%増、年率換算5.0%増と前期に比べプラス幅が拡大し、日本経済全体が改善傾向であることを示すものとなった。ICT経済に目を転ずると、民間部門のICT設備投資動向を表すICT機械受注(民需)が3月に入り改善してきていることが注目される。設備投資動向が改善しつつある背景には、半導体製造装置がけん引役となっている点、電子計算機も減少幅の拡大が懸念されていたが下げ止まった点がある。海外需要や国内政策に支えられ先行していた生産活動の回復がICT設備投資にまで波及してきている。

■モバイル対応でクラウドサービス拡大を狙う米国通信事業者

2009年以降、欧米のクラウドコンピューティング市場において、米国のVerizon BusinessやAT& T、欧州のBTグローバル・サービス、T-Systems(DT)、Orange Business(FT)、Telefonicaは、CRMを中心とした業務アプリケーションベンダーやネットワークセキュリティベンダーと提携することでSaaSを展開し、さらに自社のデータセンターやIPネットワークを利用して物理セキュリティの保証や24時間365日の運用サポートを保証するSLAを定義することで、大手企業や政府系機関をメインターゲットに捉えたHaaS/IaaSを展開している。今日では、クラウドコンピューティングを展開する業務アプリケーションベンダーのモバイル対応、サーバ仮想化技術やPCやモバイル端末でのデスクトップ仮想化技術(DaaS)の本格導入、さらにスマートフォンに代表されるモバイル端末の高性能化もあり、米国の主要通信事業者は既存のクラウドサービスのモバイル対応を進めている。本稿ではこれらのクラウドコンピューティング市場の最新動向を把握し、通信事業者の今後のとるべきクラウド戦略を考える。
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