■目前に迫るVoLTEの導入
海外各国においてVoLTE(Voice over LTE)導入の動きが顕在化し始めている。また、VoLTEの主な推進役はCDMA系通信事業者であり、既に具体的な導入スケジュールを公表している。その中でも、特に米国のCDMA系通信事業者が世界で最も早くVoLTEを導入する見通しである。本稿では、VoLTEの最新動向とVoLTEが周辺領域に及ぼす影響について考察する。
■AT&Tのヘルスケア事業への取り組み
モバイルとヘルスケア事業との融合市場領域は非常に期待されている。AT&Tの当初のヘルスケア市場の参入に向けた取り組みは、最良のパートナー企業探しが中心であった。しかし、取り組みの過程の中で、パートナー企業にシステムやソリューションを個別に提供することよりも、モバイルヘルスアプリと病院のシステムとを連携させることの重要性に気付いたようである。モバイルヘルスケアアプリ間の連携機能もないため、各モバイルヘルスアプリが取得する健康情報(mHealthデータ)の共有はできていない。このため、利用者の利便性も向上せず、十分な健康支援のアプリとなっていない。結果的に医療費削減といった目に見える効果も示すこともできない。このようなモバイルヘルスデバイスやモバイルヘルスアプリが抱える課題を認識したAT&Tが、ヘルスケア事業者パートナーのためのソリューション提供という従来の法人ビジネスモデルから、自らパートナーを呼び込み、mhealthデータを活用するためのエコシステム創造に向けた取り組みを展開するまでの過程を振り返ってみる。
■成長の兆しが見え始めた民政移管後のミャンマー通信市場
ミャンマーは2011年3月、長らく続いてきた軍事政権に終止符を打ち民政移管を果たした。テイン・セイン大統領率いる新政権は、政治犯釈放、労働組合法公布など、予想以上のペースで真の民主化実現に向けた取り組みを積極推進している。2012年に入ってからは欧米が制裁の一部解除に踏み切るなど、具体的成果も現れ始めている。こうした民主化の波は、軍政下での情報統制により成長が著しく妨げられてきた通信市場にも好影響を与えつつある。民政移管後、漸く成長の兆しが見え始めたミャンマー通信市場の最新動向および今後の展望について解説する。
■ICT経済、4四半期連続のマイナス成長も来期以降に期待
今期、ICT経済は、サービス部門が前年同期比プラス0.9%とわずかに増加に転じたものの、財部門が同マイナス18.2%と減少幅が再度拡大したため4期連続のマイナスとなった(図1)。ただし、先行きを見る上で鍵となる設備投資は、通信機と電子計算機をけん引役として増加を維持し(図3)、消費についても地デジ対応の反動減の影響が大きいテレビ関連品目を除いてみると、底堅く推移している(図4)。なお先日内閣府より発表された2011年10〜12月期の実質GDPの一次速報は前期比マイナス0.6%、年率換算マイナス2.3%と2四半期ぶりのマイナス成長であった。
■国内外の主要携帯事業者のARPUの動向(2011年10月〜12月期)
〜データARPUの拡大の継続と契約数伸び率へのiPhoneの影響
○概観 世界の携帯通信市場の2011年10〜12月期は、スマートフォンによる各社データARPUの拡大は継続、国内ではiPhone独占販売終了による契約数伸び率への影響が明らかとなった。
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