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InfoComモバイル通信T&S

2013年5月号(通巻290号)

サービス関連(通信・オペレーション、製品・端末、コンテンツ・放送、その他)

  • 世界の携帯電話製造業の変動
  • 注目が集まるリストバンド型活動量計デバイス
  • アラブ諸国の携帯市場動向
  • 日本でも始まる、公衆電話を情報端末へ置き換える動き

■世界の携帯電話製造業の変動

2012年における世界のスマートフォン(以下、スマホ)出荷台数が、携帯電話総出荷台数の4割を突破した。スマホの急速な出荷増は、世界の携帯電話製造業界に大きな変革をもたらしている。数年前まで世界の携帯電話業界に君臨していたフィンランドのノキアや米国のモトローラは赤字に苦しんでいる。代わって、米国のアップルと韓国のサムスンがスマホ市場を支配し、両社だけで世界の携帯電話の利益のほぼ8割を占める。また、スマホの急成長は、世界の携帯電話製造モデルに変化をもたらしている。主としてフィーチャーフォンを受託製造してきたEMS企業が、受注量と利益の急激な減少に苦戦している。さらに、米国系EMSに代わって、アジア系、特に台湾のEMSやODM(囲み記事2参照)が勢力を伸ばしてきた。同時に、携帯電話製造地のアジアへの集中化が進み、中国が世界の携帯電話製造大国になった。スマホの製造モデルにも大きな変化が起きている。スマホはiPhone5やGalaxy S4に代表されるハイエンド製品だけでなく、ミドルレンジ/ローエンド機種が急増している。これに伴い、半導体メーカーの提供するリファレンスデザイン(詳細後述)が、ローエンド・スマホの製造で大きな役割を果たしている。本稿では、スマホ製造業界におけるこれらの最新動向を概観する。

■注目が集まるリストバンド型活動量計デバイス

健康志向の高まりなどを背景に、自分の運動量や睡眠時間などを計測するリストバンド型の活動量計デバイスに注目が集まりつつある。歩数計に代表されるように、以前から歩数といったような自分の活動量を計測する機器はすでに販売されている。本項では、現在注目されているリストバンド型のデバイスの紹介をすると共に、他の活動量計などとの差や通信事業者との関わりについて報告する。

■アラブ諸国の携帯市場動向

携帯電話の国際業界団体GSM Association(以下、GSMA)は2013年2月、アラブ諸国の携帯市場動向を広範にカバーした初の報告書「アラブ諸国携帯市場観測2013(Arab States Mobile Observatory 2013)(以下、GSMA報告書)」を発表した(注1)。同報告書によれば、過去10年間におけるアラブ諸国の携帯電話加入数の年平均成長率は32%と、地域別順位で世界2位の高さを誇っている。本稿ではGSMA報告書を基に、世界的に見ても高い成長が継続しているアラブ諸国の携帯市場の特徴および最新動向そして今後の展望について解説する。

(注1)GSMA関連の英調査会社ワイヤレス・インテリジェンスおよびコンサルティング大手デロイトとの共同調査に基 づく報告書。

■日本でも始まる、公衆電話を情報端末へ置き換える動き

筆者は以前本誌において、米ニューヨーク市で公衆 電話ボックスを流用して大型スクリーンを備えた情 報端末「スマートスクリーン」に移行させる試みを 紹介した(2012年12月号記事「生まれ変わる電話ボ ックス:ニューヨークの『スマートスクリーン』」)。 「スマートスクリーン」は、平時はレストランや観 光スポットの案内や広告表示、また警察・消防・救 急への電話連絡が可能で、緊急時には周囲へ警報を 発令するといった機能を持つ。つまり、市民の生活・ 交通の便や安全確保をサポートする高機能な情報端 末というわけだ。

日本でも、このような試みはすでに始まっている。 研究サイドから始まった端末開発は実証実験も行わ れており、政府が検討している防災・減災構想の一翼を担う可能性も出てきている。

本稿ではこの種の高機能情報端末に関して、最近の日本での動きを紹介するとともに、米国の「スマートスクリーン」最新動向をフォローし、日米の比較を行う。

【写真1】ニューヨークの「スマートスクリーン」 (本誌2012年12月号から再掲)

>【写真1】ニューヨークの「スマートスクリーン」

(出典:ABC news Web site, http://abcnews.go.com/Technology/york-city-telephone-booths-smartscreen-digital-makeover/story?id=16103892#.UL2URWcXIT4)

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