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研究の眼
2010年11月10日掲載

米国で位置情報サービスがいよいよメジャーになるか?

グローバル研究グループ 山本 惇一
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 位置情報と連動したSNS(GPSと連動して近くにいる友人がわかる-BlightKite)や位置情報と連動したゲーム(実際の地図に宝探しゲームを組み合わせる-GPS Mission)など、2008年のApp Store開始を期にスマートフォンを利用したアプリが出始め、Googleも位置情報サービス「Google Latitude」を2009年2月に提供開始するなど、一時期盛り上がりをみせる気配があるも、一部のニッチユーザのみが利用していた位置情報サービス。

 データを見てもニッチコンテンツであることは明らかで、2010年11月米調査会社Pew Internetの発表によると米国の成人男性の4%が利用しているのみ(調査期間は2010年8月〜9月)であった。

 しかし、2010年11月にFacebookから発表された位置情報サービス「Deals」(※Facebook Dealsは現在米国のみでの展開)は位置情報サービスを一歩メジャーな地位に押し上げる可能性がある。今回はそのFacebook Dealsの紹介と今後の展望を予測する。

【図1】:「Facebook Deals」のイメージ Facebookは2010年11月、位置情報をベースにクーポンなどの特典を配信する新たなモバイル機能「Deals」を発表した。この新機能はFacebookのモバイル位置情報通知機能「Places」の利用者に対し、現在地周辺の店舗などからの情報を配信する。モバイル利用者がその場所でチェックインすると、例えばレストランなどの情報と共にお得なクーポンが利用できるようになる。

 Dealsには22社のパートナーが既に参加しており、少し具体的な事例がFacebookのブログに掲載されているので、それを紹介する。

GAP:1万着のジーンズを無料でプレゼント
サンフランシスコ49ers(アメフトチーム):先着200名にアメフトの試合のチケット
ラスベガスのホテルPalms:部屋のアップグレードもしくは1泊延泊
マクドナルド:Ronald McDonald Houseのチャリティーへ1ドル寄付

などなど・・・・・

 2010年10月に400万ユーザを超えたFoursquareもこのクーポン方式を採用しており、「位置情報と連動したクーポンの配信」というのが位置情報サービスを後押しする可能性がある。

 またFacebookは明言していないが、全世界で約5億人というその圧倒的なユーザ数を考えると、最近話題のGrouponを始めとした共同購入クーポンサービスへの事業拡大という点も考えられる。Grouponは、地域限定のクーポンのサイトで、レストランやレジャー、スクールなどのクーポンを共同購入することで、50%以上の大幅値引きを実現するサイトである。(日本でもリクルートを始めとした数十社が同様のサービスを提供している。)このようなサービスにおいてSNSやTwitterといったソーシャルメディアは口コミを爆発的に広める役割を担っている。

 ユーザ側からは位置情報サービスを利用することによる具体的なメリットがみえるようになり、お店側にとってもプロモーション効果や時間等によって繁閑の多い業態では、その繁閑の差を縮めるなどの利用価値がある。

 今までのコミュニケーション手段としての位置情報サービスからは一歩進んだ形であり、今後の展開が注目される。

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