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研究の眼
2010年11月11日掲載

写真でつぶやく? Instagram

グローバル研究グループ 三本松 憲生
[tweet]

 Twitterのヒットの背景には、日常の何気ないことをひとりごとのように140文字で表現するという手軽さがあったことが考えられる。本稿で紹介するInstagramは基本的な構造はTwitterと同様でありながら、言葉の代わりに日常の何気ないシーンをスマートフォン等から撮影された「写真」で行なおうとするサービスである。本稿ではInstagramのサービス概要や特徴について紹介する。

サービス概要

 Instagramは2010年11月現在、iPhoneのみに対応したアプリとなっている。アプリとサービスは共に無料で利用できる。基本的な仕組みはTwitterと同じであると考えられるが、利用開始にあたっての基本的な流れは次のようになる。

  1. Instagramのアカウントを作成する
  2. 自分が気になる写真を投稿しているユーザをフォローする(フォローの仕方については複数あるので後述する)
  3. 写真をiPhoneのカメラから撮影して投稿する
  4. 気に入った写真を見つけた場合、likeというボタンを押したり、またはコメントを残すことが可能

Instagram 写真1上記2.と3.については個人で順番が異なるだろうし、どちらが先であっても構わないと思う。2.のフォローについては上記したように複数の方法がある。ひとつはユーザ名を直接入力することだが、iPhoneの電話帳やFacebookやTwitterで繋がりのある友人・知人を検索することを通じてInstagramを利用しているユーザを探してフォローすることが可能である。


Instagram 写真2また、Popularと呼ばれる特に人気のある写真が掲載されているところから自分の好みの写真を投稿しているユーザを見つけ、そのユーザをフォローすることも可能である。


Instagram 写真3気に入った写真にはコメントも残すことが可能だが、もっと簡単に「like」ボタンを押すことで写真を投稿した相手にそれを伝えることもできる。

 また、反対に他のユーザからフォローされたり、投稿した写真にlikeやコメントが付いた場合には自動的に「News」画面に表示される。


Instagram 写真4 Instagramの写真は、TwitterやFacebookにも投稿することができる(写真を投稿する際に選択可能)。また、iPhoneに搭載されているGPS機能を利用することで位置情報サービスであるFoursqureと連動させることもできる(その他に写真を共有できるサービスとしては、Flickr、Tumblrがある)


Instagramの特徴

 このようにInstagramユーザのみならず、その他のソーシャルネットワークサービスと繋がりを有しているというのがInstagramのひとつの特徴である。写真を共有するサービスはウェブやスマートフォンに数多くあるが、このサービスをより面白くしていると思われる機能が写真のサイズとフィルタにあると考えられる。

Instagram 写真5 筆者撮影。会社の近所に住んでいるネコが水を飲んでいるところ 我々が普段目にする写真のサイズは横長のものが多いと思うが、Instagramの写真は正方形となっている。筆者は横長の写真に慣れているため、初めてInstagramのアプリを利用して写真を撮影した際には正方形の写真に違和感があった。一般的な横長の写真であれば風景なり物体なりを撮影する際には余裕を持って全て画面に収められるのだが、Instagramで撮影する場合には横幅が制限されているので、無理に全体を画面に収めようとすると離れた位置から撮影することになり、撮影しようとしたものが遠くになってしまう場合があるからである。Instagramで人気となっている写真は、その撮影の対象物自体が面白いものが多いということもあるが、真四角の構図を逆手にとって対象物に近寄り、写すことができない箇所を思い切りよく切り捨てることによって、逆に面白い効果を生んでいるように思う。

 また、トイカメラのようなおもちゃのカメラや古いカメラで撮影したような効果を写真に加えることができるフィルタが11種類用意されており、何気ない写真であってもフィルタ効果で面白い写真となることがある。

Instagram 写真6 下写真は、上の写真(撮影画面)にフィルタをかけた結果。フィルタのアイコンにタッチすると写真に変化を付けることができる

 Instagramのウェブサイトには、このアプリを開発した際のアイディアが掲載されているが、その一つに携帯電話のカメラの画素数は上昇していくが、ムードがないという旨のことが書かれている。スマートフォンや一般的な携帯電話に搭載されているカメラはコンパクトデジタルカメラに匹敵するほどの美しい写真を撮影することが可能であるが、反面「アジ」がある写真が撮れないのではないか、というのは面白い発想であり、これがその他のサービスとInstagramとの最も異なる点であろう。

安全対策

 Instagramはユーザが自由に写真を投稿することができるため、場合によっては倫理的に問題のある写真が投稿される可能性がある(※筆者も本サービスを利用しているが、これまでに不快と思う写真は一枚もなかった)。そのようなことを避ける仕組みも組み込まれており、問題と思う写真があれば、写真の右下に表示されるボタンを押すとなぜこの写真を問題視しているのかということを入力できるボックスが表示され、通達することが可能である。

ビジネスモデル

 上記したように、2010年11月現在、Instagramのアプリ及びサービス利用はともに無料である。Instagramのウェブサイトを見ると、写真のフィルタを追加的に販売することで収益を得るモデルを考えているようであるが、現時点では明確なビジネスモデルは確立されていないように考えられる。

まとめ

 携帯電話の普及率と、現在販売されているほぼ全ての携帯電話端末にカメラが搭載されていることもあり、写真を撮影するということは以前よりも手軽にできるようになった。ただし、それを多くの人と共有する、という手段はまだそれほど普及していないと考えられる。
 Twitterは普段は心に浮かんでもすぐに消えてしまうような「つぶやき」を他の人と共有することが面白さのひとつであると思うが、Instagramは他人が何気なくみた風景を世界の人と気軽に共有できるサービスであり、単純に世界中の人がどんな風景を見ているのかを眺めるだけでも楽しい。日本ではこれから木々が色づくシーズンであり、遠出しなくても美しい風景が沢山撮影できるチャンスがある。ご興味のある方は是非Instagramを利用して、日本の美しい日常風景を世界の人に届けてみてはいかがだろうか。

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