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研究の眼
2010年11月25日掲載

Twitterとロングテールなレコメンド

グローバル研究グループ 小川 敦
[tweet]

フォローしておくと面白いものに出会えるTwitterアカウントを見つけた。その名も「ふいったー」で「@fuitter_bot」をフォローすると、誰かがおもしろいと思ったものを自動的に収集してくれる(http://twitter.com/fuitter_bot)。ちなみに同アカウントの自己紹介によると、「現在試験運用中」とのことである。解説は野暮だと思うが、幅広い読者層を想定して敢えて解説すると、「ついったー」と「吹いた/噴いた(「おもしろい」という意味のネットスラング)」をかけているわけである。なお、このアカウントはbot(自動的にツイートするプログラム)。

 Twitterの登場以降、人々が脳内で考えていることがほぼリアルタイムにネット上で可視化されるようになってきている。これは既に多方面から指摘されていることで、こうした最近の変化は非常に興味深い。一方で、Twitterを敬遠する人の多くに「くだらないツイートが多すぎる」という意見がある(確かにそれも事実)。だが、Twitterに限らず、発信者の意図とは必ずしも関係なく、情報をどう受け取るか、どう活用するかは受け手次第であることを忘れてはならない。例えば、毎日やっている筋トレの内容を都度ツイートする人がいたとして、大多数の人にとってはどうでもいい情報かもしれないが、大学でスポーツ科学を専攻する学生や研究者にとっては有益な情報かもしれない。ツイートによるリアルタイム情報は玉石混交だが、玉となるか石となるかは使い方次第で変わってくる。

 だいぶ能書きめいたことを書いたものの、筆者自身、上記の「ふいったー」についてはおもしろネタ収集以外の高尚な使い方を今のところ見つけられていない。この「ふいったー」はいわゆる小ネタなのだが、誤解されたくないのは、筆者はこれを決してくだらないものとは思っていないということ。むしろ、大きな可能性を感じている。

 「ふいったー」は言わば、たくさんの人が自動的におもしろいものをレコメンドしてくれるわけだが、Amazonのレコメンド機能やYouTubeの関連動画のレコメンドとは少し趣を異にしているように思える。Amazonの場合は同じ商品を買った人の購入履歴や販売数、YouTubeの場合はメタタグや再生回数など計測可能なパラメータを元にレコメンドが生成される(おそらく)のに対し、「ふいったー」の場合はアクセス数などには関係なく無秩序かつニッチなおもしろネタが次々にあがってくる。正におもしろネタのモザイク。つまり、ロングテールの先端の情報もメジャーな情報と同列に扱われるのである。しかも、一度フォローしておけば勝手にレコメンドしてくれるので、検索さえ必要なく圧倒的に手軽である。

 「試験運用中」とのことであるが、利用する側も試しに「ふいったー」をフォローしてみてはどうだろうか。そして、より「吹く」ような活用方法を見つけたらぜひツイートしてご教授いただきたい。

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