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Global Perspective 2010
2010年12月13日掲載

スウェーデン テリアソネラがホテルでNFCトライアル実施

グローバル研究グループ 佐藤 仁
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 スウェーデン最大のキャリアであるテリアソネラ(TeliaSonera)がストックホルムのクラリオンホテルで2010年11月2日、NFC対応の携帯電話を用いてのトライアルを実施すると発表した。
今回のトライアルは、テリアソネラや関係メーカら 5社がジョイントで実施する。
トライアルで利用する携帯端末はサムソンのNFC対応端末を用いる。トライアル期間は4カ月。

 今回のトライアルを通じて、テリアソネラとクラリオンホテルは利用者および従業員からのフィードバックを生かして、今後の商用化に向けたサービス展開を検討するとのこと。

 宿泊客は通常通りにホテルを予約し、ホテル到着前に宿泊客の携帯電話にホテルのキーアプリケーションを受け取り、フロントでのチェックイン無しに直接部屋へ行けるとのこと。またチェックアウトもスムーズにでき、チェックアウト後、アプリケーションは無効になるとのこと。

今回のNFC活用イメージ
ASSA ABLOY Mobile Keys At Clarion Hotel Stockholm Video

 NFCというと、おサイフケータイや電車乗車、銀行との連携などペイメント分野ばかりのトライアルが目立つ。しかしNFCの原点に返ってみると本来、このようなホテルやマンションでのキー利用という分野からのスタートというのは決済等が絡まないので垣根が低くてよいと考える。もちろん、ホテルやマンションのキーだからセキュリティ等の配慮は必要だ。

 日本では2004年からすでに、NFC技術を活用したおサイフケータイを鍵とするマンションもある。またオフィスの入退室にNFCを用いているところも多数ある。

 ご存じの方も多いと思うが、そもそもNFCとは、近距離通信を意味するNear Field Communicationの略である。
非接触型識別技術と相互接続技術を組み合わせた無線通信規格で、この規格に準拠した機械同士は、13.56MHzの周波数を使用し、約10cm以内という近距離で106kbps〜424kbpsの速度での双方向通信が可能な技術のことであり、ペイメント分野だけでなく、色々なシーンで利用が可能である。

 このトライアルを通じ、今後テリアソネラとしては、NFCという新たな分野へのチャレンジの試金石としたいと考えているとコメントしている。
一方で、今回のトライアルの中でのテリアソネラの役割や、トライアル以降のテリアソネラのビジネスモデルや具体的な商用化の目途は現時点では明確でない。例えばテリアソネラユーザなら割引になるとか、優先的に予約ができる、ホテル宿泊料のコミッションを何%かをキャリアが貰うなどのビジネスモデルが考えられるが現時点では何も明らかになっていない。

 ひょっとすると、今回のトライアルで、利用者、従業員からの評判が悪く、商用化に至らない可能性も無きにしも非ずだ。
いずれにせよ、キャリアが今後NFC対応携帯を活用したビジネスでどのような役割を担い関わっていくのか興味深い。

 2011年には、NokiaもSymbianOS上でのNFC搭載を予定しており、またAndroidもAndroid2.3 ベースからNFC搭載を発表している。今後のNFC対応携帯端末の動きと、それらを活用した各キャリアのビジネスモデルには引き続き注目していきたい。

 また日本は同分野においては世界に先駆けて、おサイフケータイとしてあらゆる面で商用化されている。各国によってそれぞれ規制等の問題もあるだろうが、是非日本でのビジネスモデルも参考にしてもらいたい。

◎今回のトライアルに参加している企業は以下の5社
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