日本人には馴染みがないかもしれないが、毎年5月17日は、国連の機関である国際電気通信連合(以下ITU)が制定した「World Telecommunication and Information Society Day(世界情報社会および電気通信日)」である。
これは、1968年10月にITUの基礎となった万国電信条約が署名された日(1865年5月17日)である5月17日を「World Telecommunication Day」(世界電気通信日)と定めたのが始まりである。
その後、2005年11月に開催された世界情報社会サミット・フェーズ2(2005年11月 チェニス)で5月17日を「世界情報社会の日」とすることが宣言され、その後の国連総会で採択された。
さらに、2006年に開催されたITU全権委員会議において、5月17日を「World Telecommunication and Information Society Day(世界情報社会および電気通信日)」として、従来の「電気通信日」から、幅広く“世界情報社会”も含まれて決議された。
もはやICTの世界では、「電気通信」だけでなく「情報社会」という概念が不可欠になった。
その中でもデジタル・デバイドの解消やICTによる「より良い生活」を中心にしたテーマが多い。ICTが新興国の発展に果たす役割の重要性をITUおよび国連が強調しているのがわかる。これは国連のミレニアム開発目標(Millennium Development Goals:MDGs)を意識してのことだろう。
国連は2000年に、ミレニアム開発目標を採択し2015年までに達成すべき8つの開発目標を掲げている。
それらの目標達成と新興国の「情報社会化」に向けてICTの果たすべき役割は今後ますます大きくなるだろう。ICTというと先進的なイメージを持たれる方も多いかもしれないが、基本的な情報伝達手段としてもICTはBHN(Basic Human Needs)とも密接に関わっている。今後、ICTを積極的に活用し、「情報を持つ」ことによってエイズ・マラリヤ感染からの予防、教育の普及、女性の社会進出、乳幼児死亡率低下に繋がることを期待している。
ITUは2011年のテーマについて以下のようにコメントしている。
This year, World Telecommunication and Information Society Day highlights the theme “Better life in rural communities with ICTs”(中略)
ICTs are increasingly in demand to meet the Millennium Development Goals. In the rural context, ICTs provide enhanced opportunities to generate income and combat poverty, hunger, ill health and illiteracy..
Half the world’s population resides in rural districts and far flung communities. This half — three billion people — represent the poorer, less educated, and more deprived cousins of our urban citizens. They are also among the least connected to the benefits of ICTs. We cannot allow this situation to continue. (ITU サイトより)