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Global Perspective 2011
2011年7月6日掲載

デンマーク:通信事業者によるNFCへの取組み:ジョイントベンチャー設立

グローバル研究グループ 佐藤 仁
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 2011年6月23日、デンマークの通信事業者4社がNFCを活用したモバイルウォレット(日本でいう「おサイフケータイ」)のジョイントベンチャー(以下JV)を設立すると報じられた。

 デンマークの通信事業者TDC、Telenor Denmark、TeliaSonera Denmark、3 Denmarkの4社でJVを結成する予定。NFCを活用したモバイルウォレットのプラットフォームの共通化を図る。2012年末を目途に携帯電話によるNFCを活用したペイメント、チケット発行、ID認証などのサービス化を目指し2013年に本格的普及を目指すとのこと。デンマークの通信事業者間で、NFC対応のSIMカードで対応を予定している。

 今後、通信事業者間での役割やリーダーライターの設置、ビジネスモデル、銀行、カード会社、リアルの店舗との交渉など解決すべき問題は多数ある。
 また通信事業者でのJVで共通のプラットフォーム活用となると消費者にとっての利便性は高まるが、通信事業者にとっての自社の差別化、ユーザの囲い込みは難しくなる。市場規模となるデンマークの人口は約550万人である。本格導入を目指す2013年までには世界のNFC、モバイルペイメントを取り巻く環境も激変している可能性も高い。

 デンマークの携帯電話事情について簡単にみてみたい。
携帯電話加入者約689万人。加入率約124%。今回提携を発表した4社がメジャーな通信事業者である。(2010年12月現在)

1.TDC
 ・シェア約41.9%
 ・Nordic Telephoneグループ

2.Telenor Denmark
 ・シェア約28.7%
 ・ノルウェーTelenorグループ

3.TeliaSonera Denmark
 ・シェア約20.7%
 ・スウェーデンTeliaSoneraグループ

4.3 Denmark
 ・シェア約8.6%
 ・ハチソン3グループ

 イギリスでも先日、通信事業者3社でのJV設立の報道があった。またアメリカの通信事業者3 社でNFCの共同推進を目的として2010年11月にISISを設立している。他にオランダやベルギーでも通信事業者同士が足並みを揃えてNFCを共同で推進していく動きが見られる。

 通信事業者間でのネットワーク共有はよくあるケースだが、今後はNFC分野での協業、プラットフォームの共有化という流れになるのだろうか。

 通信では国境を超えて国外でサービス展開を行うことはあっても、NFCによるペイメント(決済)分野では国境を超えるのは難しい。デンマークの通貨はデンマーク・クローネ。

 今後も各国の通信事業者のNFC、モバイルウォレットへの取組には引き続き注目していく必要がある。

*本情報は2011年7月4日時点のものである。

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