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研究の眼
2012年11月16日掲載

情報整理のための新たなサービス
−比較検索サイト「VERSUS IO」−

グローバル研究グループ 酒井順一朗
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「新しく購入するのであれば、AppleのiPhone5とSamsungのGalaxy S3どちらがいいのだろう。」次々に魅力的なデバイスが発表される昨今、このようなことで頭を抱えてしまうのは筆者だけではないのではないか? いざそれぞれの端末について吟味しようと情報を調べてみようとすると、ウェブ上には情報が溢れかえっており、どのように判断すればいいのか途方にくれてしまう。

本稿では、そのようなときに情報を整理し、それぞれの情報を比較してくれるウェブサービス「VERSUS IO」について紹介してみたい。

サービス概要

「VERSUS IO」は2012年6月より、ベルリンを拠点にするスタートアップVERSUS IO社によって提供されている無料のサービスである。開始当初はスマートフォンやタブレットの比較を主な用途として想定したサービスであったが、2012年11月6日現在ではカメラや都市なども比較ができる。具体的な利用方法は以下のような流れだ。

  1. 当該のウェブサイト日本語版)にアクセス
  2. 比較対象にしたい「もの」の名称を入力
  3. ウェブサイトより結果が出力される。それぞれの利点が「reason(理由)」という形であげられる。(iPhoneとGalaxy S3を比較した場合、iPhoneについて「物理」に関しては「より軽い」、「接続」に関しては「見違えるほどにより速いアップロード」などが列挙される)

【参考】iPhoneとGalaxy S3を比較した場合のGalaxy S3の「理由」
【参考】iPhoneとGalaxy S3を比較した場合のGalaxy S3の「理由」

【参考】ウェブサイトの画面。中央に比較したい「もの」の名称を入力する
【参考】ウェブサイトの画面。中央に比較したい「もの」の名称を入力する

【参考】iPhoneとGalaxy S3を比較した場合のiPhoneの「理由」
【参考】iPhoneとGalaxy S3を比較した場合のiPhoneの「理由」

(写真:VERSUS IOより引用 2012年11月16日時点のもの)

最新の動向

VERSUS IO社の発表によると、2012年6月には月間52万であったが、同年9月には150万へと約3倍になったそうだ。特に最近発表されたiPhone5とGalaxy S3との比較を行うユーザが多いとのこと。なお同社は、今後アプリ、不動産、食品、クレジットカード等の分野も対象とする予定とのことだ。

まとめ

情報化社会と言われて久しい昨今、インターネット上には日々大量の情報が生まれている。今回紹介した、比較検索サービスである「VERSUS IO」の登場やその急速な普及の背景には、このような大量の情報に振り回されて、逆に適切な選択・判断がしにくくなっている現代人の姿があるのではないだろうか。

筆者自身も経験があるが、何かを選択する際に一度インターネットで情報収集を始めてしまうと情報は集まるのだが一向に判断が進まない。情報一つ一つに目を通しているうちに、大量の情報をいかに取捨選択し判断につなげるのかがわからなくなってしまう。この「VERSUS IO」は判断基準の生成・その判断基準に沿った情報の整理をワンクリックで実施してくれるサービスとなっており、インターネット上の情報の山の前で混乱してしまう筆者のような人間のニーズにマッチしているように感じる。

ただ、一番重要なのはこのようなツールを使いこなす我々人間のあり方であるのは間違いない。新しいテクノロジーやサービスを利用して、効率的に期待する効果を得ることも確かに重要ではあるが、それと同時に改めてインターネットや情報といったものとの付き合い方を考えてみる必要がありそうだ。

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