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志村一隆「ロックメディア」
2007年12月掲載

ロックメディア 第1回

巻頭言「コンテンツの未来」


志村一隆(略歴はこちら)
 古今東西、小説のテーマはあまり変わらない。ドストエフスキーと東野圭吾、江戸時代の武士の日記と現代のブログ、水滸伝に書 かれる役人の不正と社保庁問題と、書かれている内容はあまり変わらない。恋愛、噂、悩み、風刺、笑い、プロパガンダなど、コンテンツの本質は、日常生活とともにあり、いつの時代も変わらない。

 しかし、コンテンツを運ぶメディアはイノベーションの連続だ。レーザーディスク、VHSビデオ、DVDと同じストーンズのライブ演奏なのに、年を取るごとに買ってきたメディアは違う。そして、今インターネットからダウンロードするというメディアレスの時代が来てしまった。しかし、パッケージに慣れたある米国人は、「これからは、CDやDVDで音楽・映像を買ったことのない世代に、コンテンツを売らなければならない・・・」と僕に嘆いていたが・・・

 ひとつのコンテンツの寿命は短い。なぜなら、日常とともにあるコンテンツには時代性が必要だからだ。ヒトの死、世代ごとに求められるアレンジは変わるし、社会に支持されない限りコンテンツは存在しないのと同じだ。ミック・ジャガーも、語っているように「時代を掴むこと(ローリング・ストーン誌のインタビュー)」が重要だ。

 そして、メディアも「時代を掴む」ことが必要である。誰も見ないメディアほど意味のない存在はない。米国のテレビ局は、2007年秋からインターネットの番組配信に力を入れ始めた。CSI、HEROなど日本でも有名なテレビドラマが、全て無料でいつでも見ることができる。インターネット上に若者がたくさんいることをみての行動だ。メディア業界は、まさに今時代の変革期にある。

 時代のダイナミズムを感じるかは個人次第だが、それを感じて生きることは、とても楽しいことだ。その醍醐味は新しいもの、未来のものを探すことだろう。ロックンロールが黒人音楽と白人音楽の融合から生まれたように、これからのメディア、コンテンツは「融合」がキーワードとなるだろう。

「ロックメディア」は、コンテンツの未来を応援するため、国内、海外のコンテンツ関連の最新動向を伝えていきます。

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