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2013年10月9日掲載

後世への遺産を残せ〜東京オリンピック・パラリンピックを翼に〜

(株)情報通信総合研究所
社会公共システム研究グループ
田川 久和
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9月8日の日曜日の早朝、多くの日本人が歓喜の声をあげたことでしょう。東京オリンピック・パラリンピックの東京開催決定。アベノミックス効果により景況も回復基調にある中、日本に贈られた大きなプレゼント、「五輪はアベノミックスの第4の矢に」という当日の甘利経済再生相の発言にもあるとおり、我々日本国民に、目に見える形での将来への期待と、通過点としての目標を与えてくれたという意味で、うれしいニュースだと思います。

1960年に策定された池田内閣の所得倍増計画の4年後に開催された1964年の東京オリンピック(私自身は1970年の万博のほうがより実感があるのですが)、まさに同じような社会の雰囲気だったのではないでしょうか。この高度成長期の時代に多くのインフラ(目に見える新幹線等の鉄道・高速道路や建造物)が整備され、また目にみえない価値観やノウハウ等も熟成され、その遺産を有効に使いつつ今日の経済大国に発展したと言っても違和感はないでしょう。

ICTの世界でも64年の東京オリンピックで採用された日本IBMの競技情報システムは、「スポーツの祭典におけるコンピュータ利用の最初の成功例であり、多くの産業界の関心を集めたのは、まぎれもない事実」(※1)と評されているように、ハードウェアやソフトウェア・ソフトウェア開発管理(ソフトウェアエンジニアリング)や等の発展の基礎(遺産)となり、またその後多くのオンラインシステムが普及し、今日の情報産業の発展、情報化社会にいたったと考えられるでしょう。コンピュータをオンラインで結ぶというデータ通信の必要性が広く産業界に理解されたとのもオリンピックがきっかけであったという事実や、メインフレームのコンピュータ・アーキテクチャを確立したIBMの「システム360」が発表されたのも64年であったことも興味深い事実です。
(※1)「ソフトウェア工場」下田博次著(東洋経済新報社)

とはいっても当時の日本のおかれた状況と、今現在の日本の状況とは異なるわけで、そこは現実を冷静に捉えておく必要がるでしょう。総務省統計局の「統計からみえる東京オリンピック時と現在の日本の状況」(*2)にもあるように、資本不足ではあるが労働力は豊富(人口ボーナス)で、経済成長による所得水準の向上、有効需要の創造が効果的であったがために経済成長を目指した64年当時と、(1)少子高齢化に伴う人口減少・労働人口減少、(2)それに伴う諸産業の競争優位性の維持・向上や(3)持続可能な社会保障・医療への不安、(4)エネルギー制約、(5)64年の東京オリンピックもひとつの起爆剤となった高度成長期に建設された公共インフラの老朽化、等々の外部環境の変化を汲んだ今日の経済成長を考えるフレームワークはおのずと違うものとなるでしょう。
またテクノロジーの進化、なかでも要素として道具としてのICTをいかに取り込むかは大きなイシューとなるでしょう(※2)。
(※2)http://www.soumu.go.jp/menu_kyotsuu/topics/s_topics130927.html

最近のICTテクノロジーの加速度的・相乗的な発展には目覚ましいものがあり、LTEやWi-Fi等の情報通信、仮想化やオープンソース化等が進む情報処理、スマートフォンやタブレット等の利用環境、その基盤を支える半導体やセンサー技術等、またこの基盤の上で次々に登場し進化、発展するサービス(SNS、クラウド、ビックデータ等)があります。事実、先に述べた@からCの外部環境の変化に対応すべく道具としてのICTの活用は急速に進みつつあります。

いずれにしても世界から贈られた東京オリンピック・パラリンピックという「ビッグ・プレゼント」を、単なるイベントに終わらせるのではなく、あくまでも2020年を一里塚として後世への遺産を残すべく知恵を絞っていくことが重要でしょう。私たちと私たちの子孫のために。

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