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1.プロバイダーサービスの状況長引く不況のせいか、「実はパソコンは誰にでも使いこなせるような代物ではなかった」ことがわかってしまったせいか、パソコンそのものがあまり売れなくなっているという話を聞くようになった。しかし、インターネットへのニーズは高まる一方のようである。一般消費者向けの商品_お菓子や飲料、化粧品などでも_の広告にすら、“http://www.…”とURLアドレスが登場することも珍しくなくなった。また、一般向けの新サービスを開始することにもっとも積極的ではない業種の一つといえる銀行ですら、いわゆるインターネットバンキングといった、インターネットを利用したサービスを打ち出し始めている。このような状況を見るにつけ、インターネットが一般にも浸透しつつあるということを実感する。インターネットへの接続サービスを提供する電気通信事業者を、インターネットサービスプロバイダー(以下ISP)と呼ぶ。このISPだが、郵政省の資料によれば、1998年3月では2,661社がサービスを行っている。94年2月では10社に過ぎなかったことを考えると、その拡大ぶりにはすごいものがある。
ちなみに、インターネットの専門雑誌『Internet User』(ソフトバンク)1995年4月号の特集は、「ダイヤルアップIP接続の快楽 パーソナル・インターネット時代の幕開け」と題して、安価になりつつあるプロバイダーサービスを利用して個人でもインターネットを利用することを勧めている。上記のグラフを見ると、ほぼ同時期の95年5月では、ISPは53社である。当時は53社からプロバイダーを選べば良かったが、現状では2,661社から選択する時代になっているのである。
[*1]ISPのサービスには、企業向けのインターネット接続および、それに伴う社内LANの構築といった業務がある。特に技術力のある大手プロバイダーにとっては、このようなサービスこそがドル箱になっていると思われるが、ここではあくまでもパーソナルユースの視点から話を進める。 |
2.以前のサービスISPの提供するサービスは、言うまでもなく、インターネットへのアクセスを提供することである。仮にこのサービスを「本業」とする。数年前、ISPを選択する基準は、接続料金やホームページエリアが持てるかどうかなど、わずかしかなかった。極論してしまえば、
[*2]「interQ」が著名。 |
3.現在のサービスさて、上述のようにISPの数自体も少なく、提供するサービスにもそれほど違いのない場合は、プロバイダー選びも非常にシンプルであった。しかし、ISPの数も増え競争が激しくなっている現在では、インターネットへのアクセスに止まらず、数多のISPが多種多様なサービスを展開している。当然、プロバイダーの選択も、単に料金が高い・安いでは決められなくなってきている。ちなみに、筆者も一昨年に個人でプロバイダーに加入した。その時、選択にあたっては以下のようなことを考えた。
3-1 アクセスサービス(本業)
(1)アクセス全般
[*4]「DREAM★NET(メディアバンク)」は、DDIマルチメディアアクセスラインを利用することにより、全国どこでも日中60秒で10円となる。
(2)料金体系
[*5]実は筆者が今のプロバイダーに決めた理由は、最終的にはこれだったりする。
3-2 付加価値サービス(副業)
(1)コンテンツサービス [*6]アクセスポイントが豊富な点も魅力である。反面、フォーラムなどの情報は、GUIベースのアプリケーションにはそぐわないという気もする。筆者もNIFTY SERVEのフォーラムは毎日のように閲覧しているが、「NIFTY Manager」のようなGUIベースのソフトウエアでは閲覧する気にならず、相変わらず昔から使っているCUIの通信ソフトとログブラウザーを愛用している。
(2)その他会員制のサービス [*8]「So-net」は「Smashサービス」というショッピングサービスを導入している。 |
4.今後の展望では、今後ISPは個人ユーザーを取り込むため、どのようなサービスを展開していくのだろうか。まず、「本業」であるが、「より速く・より安く」は永遠のテーマとなるのだろう。そのためには、ネットワークそのものの高速化やアクセスポイントの増強など、インフラ面での設備増強が大きな課題となる。その解答の一つが、「ベッコアメ・インターネット」が打ち出した、「インフラ事業の完全アウトソーシング」かもしれない。同社は、インフラ事業のすべてを日本高速通信の「シリウス」を利用してアウトソーシングすることを決定した。インフラ面では、第一種電気通信事業者の技術や設備が優位であることは明白であり、得意な部分にリソースを集中させた同社が打ち出す今後のサービス展開が楽しみである。また、その他の技術的な点では、最近話題になっている「迷惑メール」をサーバー側で防止する仕組みや、「絶対に個人情報をもらさない」というセキュリティ面を強く打ち出すISPがあってもいい。「副業」では、すでに優良コンテンツを保有するようなISP以外は魅力的なコンテンツサービスを展開することは難しいだろう。ただ、今後Web上で動画を見る機会は増加すると思われるので、マルチメディアコンテンツを快適に送信する仕組みを確立していくことはアドバンテージになっていくと思う。 |
(社会システム研究部 三浦 大典) e-mail:miura@icr.co.jp (入稿:1998.5) |
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