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戦後最悪の不況といわれる中、通信産業は、1997年度には売上高で前年度比9.6%増の13兆3,048億円(郵政省発表による第一種電気通信事業者売上高)と大幅な増収を記録した。家計支出においても、1997年の通信費の支出額は、消費不況といわれる中で前年比9.7%増と同様に高い伸びを見せている。通信産業は、到来するマルチメディア社会に向けて、これからの日本経済のリーディング産業として、その存在感を高めつつある。
本稿では、家計調査(注1)をもとに家計における通信費の支出動向について解説してみる。
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2.まとめここまでを概略すると、家計支出に占める通信費の割合は、電話の急速な普及に伴って1977年まで急激に伸びた。その後、料金値下げの影響などにより1994年まで横ばいが続き、規制緩和の効果が表面化してきた1995年以降、主に移動体通信とインターネットの急速な普及を原動力に再び上昇に転じて現在に至っている。1997年の一世帯当たりの通信費は月額8,213円と家計支出全体の約2.5%を占めている。また、通信費の大半を占める電話通信料は、ほぼ一貫して増加しており、1997年には月額6,847円と、1987年から1997年までの10年間で約1.5倍に増加している。 現在、加入電話の世帯普及率はほぼ飽和水準に達した(1997年93.3%)と思われるが、携帯電話やインターネットの普及は当面高い伸びが期待できることから、家計支出に占める通信費の割合の上昇局面、ここで言う第IV期はもうしばらく続くであろう。 日本において従来の通信サービス(主に固定電話)は、これまで価格弾力性が低い、つまり生活必需品的な色合いが濃いサービスであった。しかし、最近の報告によると、多くの若者は娯楽費を削って携帯電話やインターネットへの支出に充てている、ということから携帯電話やインターネットといった新しい通信サービスは娯楽の一部となりつつあるのかもしれない。 規模的には成熟した日本経済において、従来のように家計収入の高い伸びを期待することは難しい。このような状況下では、通信事業者は、最終財としての通信と合わせて中間財としての通信需要の掘り起こしに力を入れることも重要となるであろう。 |
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(調査部 今別府 忍) e-mail:imabepp@icr.co.jp (入稿:1998.7) |
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