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米国における電気通信事業における外資規制は、連邦通信法の第214条と第310条において、下記のように規定されている。 連邦通信法214条(線路の延長)
連邦通信法310条(免許の所有及び移転についての制限)
外国政府、外国人、外国人が役員である会社および外資比率が20%を超える会社に対しては無線局免許が付与されず、またFCCの認定により外国人が役員である会社もしくは外資比率が25%を超える会社の子会社に対しては無線局免許が付与されない。 実際には、外資系の通信事業者による米国市場への参入の申請や、米国系通信事業者への投資に関する規制は、上記の2つの条項を施行する、さまざまなFCCの規則に従って行われてきた。また、それらとは別に、国際通信における精算料金の収支赤字の改善の観点から、FCCは国際精算料金を基準とする外資規制の制定を行ってきた。それらをまとめたのが下記の表である。
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1.第214条による参入申請の審査外国企業による第214条に基づく米国通信市場への参入申請(以下、214条申請)の認可は、同条に規定されている参入条件としての「公共の利益基準」によって審査されてきた。公共の利益基準は下記の4項目から構成されている。〔公共の利益基準〕
(1)国際単純再販売による214条申請の審査 同等性の確認テストは、母国市場においてドミナント・キャリアであるかどうかにかかわらず、当該ルートで最初に国際単純再販売の提供申請を行う事業者に適用されてきたため、米国-カナダ間、米国-英国間で認可を受けた事業者は、それぞれ、フォノローラ/EMI、ACC/アラナというノン・ドミナント・キャリアであった。
(2)その他の形態(設備設置ベース、専専専、公衆網再販売、無線局)による214条申請の審査
ECOテスト
ECOテストの基準とされたのは以下の4点である。
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2.第310条による参入申請の審査通信法第310条は米国の(無線免許を有する)通信事業者に対する外資の上限を直接投資の場合20%、間接投資の場合は25%としているが、間接投資の場合はBTによるMCIの100%取得が認められたように、相手国の市場開放度に応じて、また、公共の利益に合致すると判断した場合、FCCは上限を上回る投資を認める裁量権が与えられている。(参考)MCIに対するBTの出資上限の推移(FCCによる310条の適用除外)
*BTによるMCI完全買収をFCCが認めた条件の1つに、英国政府が所有しているBTの黄 金株を手放すという、BTに対する外資規制の完全撤廃があったのは記憶に新しいところである。 |
3. 相互主義的な外資規制の見直しFCCは1995年11月の「外資系通信事業者参入命令」の中において、WTO基本テレコム交渉の進捗に応じて、同命令の再考を行うことを明言していた。その後、WTO基本テレコム交渉の合意(1997年2月)により、市場アクセスと競争セーフガードが実現する見込みが立ったことから、FCCは1997年11月の「米国通信市場の外国通信事業者に対する自由化に関する報告及び命令」により、「WTO基本電気通信合意とWTO加盟国における市場開放努力に鑑み、外国事業者の参入を規制する従来の政策を、WTO加盟国の事業者に関しては自由参入政策(Open market policy)」に置き換えることが可能である」として、WTO加盟国について、米国市場への参入条件に相互主義(同等性の確認テスト、ECOテスト)を課すことを取り下げる決定を行った。ただし、その他の公共の利益テストは引続き適用される。 今回の決定により、WTO加盟国の事業者は、
FCCは上記の(1)〜(3)の申請について、今後は下記のような簡素化された手続を適用するとしながらも、報告義務については継続し、反競争的行為を監視していく姿勢を明らかにしている。 〔改定された基本的なセーフガード〕
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(海外調査部 神野 新) e-mail:kamino@icr.co.jp (入稿:1998.4) | ||||||
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