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米国市内電話会社の住宅ユーザー向け提供サービス
〜ベル・アトランティック社の電話帳のユーザーガイドから〜

(1998.6)


 米国のベル電話会社の1つであるベル・アトランティック(BA)社のボストン地域におけるホワイトページ(1998年1月〜12月版)の冒頭に、同社が現在提供しているサービスについての、顧客向けのガイドが掲載されている。その中で、特徴的な部分を紹介してみたい。

(1)社会的弱者に対する配慮が充実している

 例えば加入者が病気のため、電話料金の支払が困難となった場合に、BAに医師の診断書を提出することにより、通話料金の支払を一定期間猶予される。BAは、ある世帯の構成員がすべて65歳以上の場合、通話停止は行わない。また、介護老人、身体障害者、医療扶助、食料スタンプの支給を受けているなどのユーザーは、サービス開始時の工事料金を50%割引(最大18.54ドル)されるほか、月額料金の減額(9.5ドル)を受けられる。65歳以上の住宅用加入者からの番号案内通話は無料扱いとなっている。

→高齢化社会に向けて、また企業としての社会福祉に対する姿勢の一環として、今後このような配慮が求められるようになろう。

(2)多様な通話料金メニューを提供している

 時分制(基本料金9.91ドル)、定額制(16.85ドル、一部時分制)、LATA内定額制(基本料金45.90ドル)、自局内とボストン市郊外地域向け定額制(基本料金24.98ドル)、自局内とボストン中心街向け定額制(34.67ドル)、自局内とボストン中心街のほか、指定地域向け料金の定額制(31.67ドル)、などが用意されている。

→インターネットの浸透、SOHOや在宅勤務形態が普及するに従って、住宅用加入者の通話パターンも大都市向け中心から郊外や特定地域向けにシフトすることも考えられることから、このような多様な料金制度を準備することは、ユーザーにとって電話料金の選択の余地が拡大することになろう。

(3)料金情報通知案内サービス

 プッシュ式電話を利用している住宅用及び事務用加入者は、(1-800-244-3737)に電話することにより、現在時点での課金情報を自動案内通知で知ることができる。月〜土に受付けており、現時点における請求金額のトータル、支払確認状況、などを知ることができる。

→長距離事業者の料金は通知されるのか、更新の頻度はどれくらいか、などの疑問や、インターネットを使った料金通知に比べてまどろっこしい面はあるが、利用者として考えれば、このようなサービスに対する需要は高いと考えられる。

(4)ユーザーの立場に立って費用節減のアドバイス

 顧客は請求料金に納得がゆかない場合、その料金について調査期間中の支払は要しないことが明記されている。また、州内の地点から自動ダイヤル発信装置によって発信された通話の受信をブロックしたり、有料情報サービスへの発信をブロックするサービスを無料で提供している。高額の長距離料金を請求される場合があるAOS業者(代替オペレータ通話提供業者)に対する注意を喚起するとともに、屋内配線工事はユーザーが自ら道具を入手して行うことを勧奨している。誤接続、回線不良、通話中に切断された等の場合は、オペレータに電話することにより、料金の払戻しを受けられることも明記されている。

→利用者の権利義務が明確に示されているところは、いかにもアメリカ的合理主義という感じであるが、ユーザーが状況に応じて対応できることを明記しているので、フェアな精神という感じがする。

(5)各種機能の提供

 電話帳に同一姓の2名までの名前を掲載できるサービスを無料で提供している。有料サービスとして、ボイスメール、様々なカスタム・コーリング・サービスとそのパッケージング提供、保守サービス、コーラーID等のインテリジェント機能サービス、1つの電話回線で最大3つの電話番号と呼出音を使い分けるサービス、音声ダイヤル、電話帳非掲載サービス、などが提供されている。

→音声起動ダイヤル、呼出音の識別サービス、家族の氏名の重複掲載などは、低料金なら便利なサービスと言えるだろう。

(海外調査部 松田 正)
e-mail:matuda@icr.co.jp

(入稿:1998.5)

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