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ギガポップからメタポップへ

(1999.2)


 96年米国キャンパスネットワークのマネジャーが高等教育コミュニティーで今後必要となるネットワークの要件についての討議の中で、「商用インターネットは教育機関にとって高すぎる」、「品質が悪くて役立たない」、「サービス品質の保証が必要なアプリケーションが登場しつつあり、そのためのネットワークが必要である」ということで意見が一致し、96年10月に、全米50の高等教育研究機関を中心に、インターネット2組織が立ち上がった。大手企業とパートナーシップを結び、ギガポップとよぶ超高速の相互接続地点を構築し、そこから、大学が直接、あるいは地域ネットワークを経由して、インターネット2ネットワーク( Abilene プロジェクトが開始されるまで、 NSF/MCI が運用する学術研究機関向けv BNS ( Very High Speeded BackboneService)が唯一の高速ネットワークとしてインターネット2メンバー間で利用されていた)と商用インターネットプロバイダーの POPに接続し、安価で高度なサービス品質が得られるネットワーク環境の実現を目指した。

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 すなわち、ギガポップとは、ギガポップから vBNS/商用インターネットまでの高価な長距離通信回線費用を共有していくことでコストを削減すると同時に地域内のトラヒックを効率的に交換していくことを目的とし、4から5のエンドユーザー大学のトラヒックをギガポップ一ヶ所に集約していく接続地点として機能している。さらに、ディレクトリーサーバー、キャッシイングサーバー、セキュリティーサーバーなどの付加価値サービスをギガポップに追加し、エンドユーザー大学共同で利用していくことで効率的な運用を行うことを可能としている。現在では、既に、24ギガポップが構築され、運用されている。インターネット2非参加メンバーとも接続可能とである。ギガポップでの接続は、以下の2種類に分類されている。

・タイプI
インターネット2メンバーだけに、トラヒックが伝送される。そのため、比較的シンプルで、ギガポップ内あるいはギガポップ間接続を通じてインターネット2トラヒックがルーティングされていく。したがって、複雑な内部ルーティングとファイヤーウォールはほとんど必要としない。

・タイプII
インターネット2メンバーだけでなくメンバーがアクセスする必要のある他のネットワークと接続していく。そのため、比較的複雑で、高機能接続を提供していくため正しくトラヒックをルーティングしインターネット2の不正接続を防いでいく必要がある。

 NSFの資金供与プログラムであるvBNSの継続に関し、2000年3月31日で終了する予定であり、1998年8月13 、14日に大学関係者を中心とした”ポストvBNSフォーラム”が開催され、 NSFへの意見書としてとりまとめられた。その中で、”ギガポップの利用と発展を促進すべきである "意見がまとまった。フォーラムでは、ギガポップのような集約ポイントは、重要で社会に利益をもたらすものであり、 NSFはこれを優遇すべきだという結論に達した。ギガポップは、きわめて需要度の高い専門技術や共同研究のセンターとして機能することができる。ギガポップモデルは、技術・コスト面で明らかに有利な上に、学術セクターと民間企業間のより効率的なパートナーシップをサポートしていくことも可能である。

 さらに、米国連邦政府の NGIイニシアティブを管轄している National CoordinationOffice(NCO)For Computing、Information、and Communications (CIC )の下部組織である合同エンジニアリング・チーム(JET) が、インターネット2及びAbileneネットワークを含む、国防省のDREN 、エネルギー省のEsnet 、NASAの NREN、NSF のvBNS、DARPAの SuperNetなどの連邦政府ネットワークをピアリング接続するエクスチェンジポイントとして NGIX (NGI エクスチェンジポイント)を構築していくと発表している。その設置候補地として、ワシントン DCでは NET.WORK.VIRGINIA が運用しているMAX ( Mid-Atlantic Crossroads )、NASA 、MFS/Worldcom )、シカゴではシカゴNAP/STAR-TAP 、サンフランシスコでは NASA-Ames があげられている。

MAX、タイプIIギガポップからメタポップへの進化
 ベルアトランティック、GTE などとMid-Atlantic Crossroads(MAX)の構築を発表したNET.WORK.VIRGINIA は、 Virginia Tech、Old Dominion大学、Virginia CommunityCollege Systemが中心となってバージニア州内に ATMによる高度デジタル通信サービスのユニバーサルアクセスサービスを提供している地域ネットワークである。ここではタイプIIギガポップとして、大学だけでなく、小学校、州政府機関、州図書館、州警察など 200以上の機関が参加している。民間企業も接続可能となっている。また、vBNS 、ESnet、商用インターネット、他の地域・国際ネットワークを含む複数のネッ トワークに接続する共通のゲートウェイとして機能している。vBNSネットワークとは1997 年8月に接続された。 Virginia Tech で運用管理され、 NSF から許可を得たNET.WORK.VIRGINIA 接続機関全部がアクセスできる。現在のゲートウェイの容量は155Mbps である。このゲートウェイはNSF からの HPCプログラムを得て構築されている。現在、 Virginia Tech 、 Old Dominian 大学、 Virginia Commonwealth 大学、Virginia大学が接続され、 George Mason大学が接続している。同時に、この5大学がバージニア州のインターネット2メンバーとなっている。

 MAXの運用では、 Georgtown大学、George Washington大学、メリーランド(カレッジパーク校)、Virginia Techが主要なメンバーとなっている。MAXはワシントンDCに米国中部アトランティック地域の高度情報サービスを集約していく地点として機能し、Abilene、vBNS、ESnet、商用インターネットと接続していくことで、政府、教育目的を超えた、商用サービスも含めた全参加者が相互接続できることを目的としている。ギガポップが州に一ヶ所構築されてきているが、 MAXのようなメタポップは州をまたがって、インターネット2のような制約のある利用条件(AUP)を設定しないことに特徴がある。利用条件に関しては個々のネットワークサービスとサービス利用者間の交渉に依存していくことになる。したがって、メタポップは次世代のエクスチェンジポイントとなり、次世代インターネットと商用インターネットの統合地点となっていく。  多く場合、ユーザーはその差異を明確にしないで、アプリケーションに適した接続先を自動的に設定していくことになる。 NET.WORK.VIRGINIA、メリーランドギガポップなどをメタポップに接続していく。

 全米では、十数カ所程度のメタポップが必要となり、シカゴ、アトランタ、カリフォルニアが最初に構築されていくことになる。メタポップではATM とIP技術両方をサポートしていく。また、IPv6やRSVPも導入していく。エンドユーザーが料金を支払う。

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(グローバルシステム研究部 段野幹男)
e-mail:danno@icr.co.jp

(入稿:1999.2)

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