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インターネットの利用目的は真面目
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利用目的 | 推定利用者数 | 伸び率(99/98) |
調べもの、DB利用 | 170万人 | 35% |
ソフトのダウンロード | 150万人 | 28 % |
ニュース | 120万人 | ▲3% |
経済情報の入手 | 120万人 | 16% |
政治・政策情報の入手 | 90万人 | 38% |
企業サイトの情報入手 | 90万人 | 5% |
最新の地域情報 | 80万人 | 59% |
他ユーザと知り合うため | 80万人 | ▲2% |
地域のショッピング情報 | 70万人 | 50% |
就職情報 | 70万人 | 48% |
スポーツニュース | 70万人 | 10% |
気象情報 | 60万人 | 32% |
イベントのスケジュール | 60万人 | 12% |
商品情報 | 50万人 | ▲9% |
予約/申し込み | 30万人 | 67% |
エンターテインメント情報/サービス | 30万人 | 61% |
交通情報 | 30万人 | 17% |
健康に関する情報 | 20万人 | 54% |
自治体のサービス | 20万人 | ▲36% |
地域の旅行観光情報 | 20万人 | ▲53% |
これは、ドイツにおいては日本以上に、出版社などの従来のメディアがインターネット上での情報提供に積極的であるという印象が強く、雑誌などの記事をケチることなくフルテキストで提供するケースが多いこともその理由の一つだと考えられる。一般的にインターネットのユーザ数が拡大していくためには、各国の自国語のコンテンツの充実が欠かせないが、ドイツの場合、ここ2〜3年で急激にドイツ語の情報が豊富になってきている。
各分野の伸び率でみると、一般的なニュースが頭打ちとなってきている一方、政治・経済など、専門的なテーマに対する利用は拡大しつづけている。さらに、前回もご報告したように、ホテル、列車やチケット等の予約・申し込みが急増してきていることも、ドイツの非常に特徴的な点だ。さらにドイツならでは現象としては、地域に関する情報や、地域でのショッピング情報などの利用も昨年より急増しており(約1.5倍)、インターネットの底辺の拡大と、自治体主導でない民間による地域情報化に、インターネットが大きな役割を果たしつつあることがうかがえる。御参考までに言えば、自治体が提供するサービスの利用者数は、36%も減少している。
豊富なオンライン雑誌・新聞
ドイツの主要な新聞と雑誌の多くは、インターネットに積極的であり、新聞では、主力紙のディ・ヴェルト(ベルリン)、ズュード・ドイチェ・ツァイトゥンク(ミュンヘン)の他、ベルリン、ハンブルク、マンハイム、ザールブリュッケン、ニュルンベルクといった諸都市の地方紙もインターネット上で読むことが可能になっている。主力紙の中では、特にディ・ヴェルトが、情報量豊富なサイトの一つだ。また主力紙の一つであるフランクフルター・アルゲマイネ紙(フランクフルト)は、日本からでは、パソコン通信のニフティサーブからコンピュサーブを経由して読むことが可能である(但し、かなり料金がかかる)。
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自国ベンチャーのサーチエンジンが勢力拡大
日本と似ているが、ドイツでも、アメリカ系のサーチエンジンが人気の上位を占めている(表3)。なかでもヤフーは他を圧倒的に引き離しており、日米と同様、その強さを発揮している。推定ユーザ数の昨年からの伸びでは、スタートが遅れたアメリカ系のエキサイトを除くと、ドイツの新興ベンチャー企業によって運営されるファイヤーボールとWeb.deが、トップのヤフーと2位のアルタビスタを追かける形になっている。おそらく、来年には両者がアルタビスタを追い越し、人気検索サイトの2位3位を占め、ドイツ系のサービスが巻き返しをはかると予測される。
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サイト名 | 推定ユーザ数 | 伸び率(99/98) |
ヤフー | 240万人 | 53% |
アルタビスタ | 80万人 | 16% |
AOLネットファインド | 60万人 | 24% |
ファイヤーボール | 60万人 | 86% |
Web.de | 60万人 | 85% |
ライコス | 30万人 | 40% |
エキサイト | 20万人 | 143% |
アラジン | 20万人 | 40% |
インターネット広告収入はアテになるのか
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ドイツのニュース
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ニュース番組名 | 放送局 | お勧め度 | コメント |
n-TV live | n-TV | ◎ | ベルリンのニュース専門局。通常のテレビ放送を24時間同時中継。CM入り。 |
Die ProSieben Nachrichten | プロジーベン | ○ | 民間の放送局。フジTVのニュース番組のようなノリ。 |
tagesschau | ARD(ドイツ第1テレビ) | △ | 受信料によるドイツの公共放送。昔のNHKのように堅い。 |
RUNDSCAU | バイエルン放送協会 | △ | バイエルン州の公共放送。内容は全国ニュース中心でまずまず。 |
無論、リアルプレイヤーをダウンロードすれば、日本からでもこれらの番組をパソコンのデスクトップ上で見ることができる(但し、プロキシサーバーを利用している企業内のネットワークからは、接続できないことが多い。この場合、モデムを使ってダイヤルアップで直接プロバイダーに接続するしかない)。なお、NHK-BSでも放映されているZDF(ドイツ第2テレビ)は、マイクロソフト社と提携しており、同社のストリーミングソフトであるメディア・プレイヤーを利用して、インターネット上でZDFのニュースの一部を見ることが可能である。
インターネット上のドイツのニュース番組
アメリカや日本の放送局が提供しているインターネット放送と比較すれば、ドイツの場合、いずれも画面が小さく、その画質は、ドイツとのインターネットの回線状況にもよるが、ニュースキャスターの口の動きが伝わる程度の状態である。ネットの混雑時には、画面のフリーズもよく起こる。よほどの物好きでない限り、毎日見ようという気の起こらないレベルだと言っていいだろう。なお、回線の状態は日本側で午前中が空いているため、試される場合は午前中のアクセスをお勧めする。
n-TVのニュース
各ニュース番組は約15分で、毎日更新される。最も画質が良好なのはプロジーベンのニュース番組である。また、以下に紹介した中でもっとも興味深いものの1つとしては、通常の放送をインターネット上で同時に流しつづけているケーブルテレビ局のn-TVがあげられる。これは、ドイツテレコムのインターネットサービスであるT-オンラインのサイト上で提供され、T-オンラインのユーザには、通常のダイヤルアップだけでなくISDNやADSLを利用したアクセスで、安定した品質を提供できるように工夫されている。
従来、インターネット放送は、個別の番組をユーザに選択させて見せる場合が多かったが、今後、n-TVのように、インターネットを新たなチャンネルとして、通常の放送と同じようにネット上で流しつづけるようになるケースが増えると予想される。特に有料放送のケーブル局やCS放送局などは、画質の落ちるインターネット放送を、あらたな顧客開拓のプロモーション手段として、利用することが考えられるだろう。
ADSLやケーブルモデムで
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ADSL | ケーブルモデム接続 | |
提供事業者(サービス名) | DT 7/1より開始 | ケーブルシティ・ミュンヘン |
通信速度 | 768kbps | 550kbps |
料金 | 2つの料金プランあり
T-Online Speed50 99マルク(50時間まで) 50時間を越えると6ペニッヒ/分 T-Online Speed100 149マルク(100時間まで) 100時間を越えると6ペニッヒ/分 ともに、T-オンラインのアクセス料6ペニッヒ/1アクセスが別途必要 |
月額85マルク定額 |
通信端末費用 | 初期導入費用229マルク〜299マルク | ケーブルモデムカード等395マルク、またはレンタルを利用すると17.9マルク/月 |
また、ドイツでは、CATVが約2000万世帯と大きく普及しており、ケーブルシティ・ミュンヘン社は、ケーブルモデムによる550kbpsのアクセスを月定額85マルク(約5400円)で提供している。さらに、旧東ドイツ地域のケーテンでは月定額55マルク(約3500円)で提供する事業者もいる。ドイツは世界で最もISDNを利用するユーザ数が多く、その数は250万を越えており、高速インターネットアクセスに対する、潜在的な需要は高いと考えられる。特に、ケーブルモデムは、コストと品質面から、インターネット高速アクセス市場において、ADSLよりも本命ではないかと考えられる。
しかしながら、アメリカやヨーロッパにおける今後5年後のADSLやケーブルモデムの普及は、インターネット利用世帯のわずか約7%程度とも予測されている。現在ADSLなどの高速インターネットアクセスが話題となっているが、これらを利用したインターネット放送が既存のテレビ放送を脅かす日の到来は、まだ当分時間がかかるかも知れない。
(入稿:1999.4)
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