1.米国大統領声明「国際電子商取引の枠組み」
去る7月1日、クリントン大統領によって「国際電子商取引の枠組み(A Framework For Global Elrctronic Commerce)」と題する声明が発表された。この声明は、次の5つの原則をその骨子としている。
- 電子商取引の民間主導
- 余計な規制を行わない
- 政府介入が必要な場合、それは電子商取引についての、可測性を備えた最小限で明確な法制を整えることに寄与するものでなければならない
- インターネットの今までにない独自な性質を認める
- インターネットを通じての電子商取引を世界的に推し進める
最大の目玉は非関税措置、そしてインターネット内に終始する新たなビジネスについての非課税措置が採られ、電子商取引空間を「フリー・ゾーン」とすることである。更に、この米国製の枠組みを世界的に広めていくとして、WTOを通じての提案も行われた。
この声明の狙いは、電子商取引分野の覇権の獲得であるという見方が一般的に行なわれている。それは、
- インターネットの分野は既に米国企業が主導権を掌握しており、米国の競争力が突出している最先端分野であるので、新産業のルールをも自らに有利な方向に導こうとする意図が見え隠れする
- 声明に於いて、WIPO(世界知的財産権機構)での著作権保護の枠組みを確立することも述べられていることから、現在のソフト大国という地位の一層の確立を図って優位性を更に絶対的なものにする為の先手を打ってきたと取れる
等の理由から出てきた見解であろう。更に、この見解を決定的にするような重要な動きが起こっている。
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