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(参考資料)通信産業回復のための6つの重大なステップ
パウエルFCC委員長の上院公聴会における証言(2002年7月30日)

通信産業回復のための6つの重大なステップ

第1ステップ サービスの継続を護る:将来における通信事業の破産からもたらされるリスクと現実を考慮して、サービスの継続を保証することおよび全米の通信網の完全性と信頼性を維持することによって消費者を保護する。

第2ステップ 企業の不正行為を根絶する:最近明らかになった詐欺と違法行為は嘆かわしい。米国民を欺く一方で私腹を肥やすなど悪事を働いた企業の幹部を、政府は精力的に摘発し、起訴し、投獄し続けなければならない。

第3ステップ 財務の健全性を回復し、バランスシートをクリーンにする:通信産業の財務的安定性と真実性を回復するため、通信会社はバランスシートの清掃を行なわねばならない。通信会社の債務残高は約1兆ドルと推定されるが、通信会社がその債務を相当減少させなければ、重要度の高い投資ですら実行されず、通信産業の回復は停滞するだろう。

第4ステップ 通信産業の慎重なリストラ:通信産業の安定には適度かつ慎重なリストラが必要である。通信市場における過剰設備の問題については、消費者に質の高いサービスを提供する通信会社の長期的な展望を考慮することが、長期的な消費者の利益につながる。他の産業と同様、通信産業の復活と健全化は慎重な統合にかかっている。(注)「慎重に」と強調するのは、合併や買収の中には明らかに競争に脅威を与え、公共の利益に合致しないケースがあるからだ。規制当局は、競争の機会を損なうことなく産業の安定を達成しなければならない。 

(注)パウエル委員長は、「この2年間で通信産業の株価総額は2兆ドル減少し、50万人の従業員が削減されたと見られる。通信産業の現状を考えると、企業統合とリストラは避けられない。」と証言した。
FCC may not be able to stop WorldCom Internet shutdown(WSJ.com,July 31,2002)

第5ステップ 新サービスによる新収入の確保:収入を増大させるために、通信会社は新サービスを提供しなければならない。重要な成長分野はブロードバンドである。「真のブロードバンドのインフラ」の開発と展開は、新サービス開発に機会を提供するだろう。我々は、通信網のラスト・マイルを(規制の)抑圧から解放することに注力する必要がある。また、規制政策はその方向に導かねばならない。

第6ステップ 経済および規制の基盤の改革:通信サービスと競争のための本物で実行可能な経済的規制の基盤を創りだすため、連邦および州の政策立案者は、さらに努力しなければならない。それには、地域小売りサービスの料金決定における弾力性、競争参入に対するインセンティブ、高度な通信網の展開促進、市場により多くの周波数を提供する方法を見つける努力を続けるとともに周波数のより効率的な利用の促進、などが含まれる。

パウエル委員長は以下の3分野におけるFCCの法的権限の強化を要望

  1. 通信法214条(通信サービス停止に関する権限)の拡大および明確化
    通信法の現在の規程では、(対象は通信事業者に限られており)インターネット・バッ クボーンのような重大なサービスに及ばない。
  2. 規則違反に対する最高罰金額の増額
    違法行為に対する抑止効果を高めるため、初回の規則違反についての最高罰金額を12万ドルから100万ドルへ、継続して違反した場合の最高罰金額を120万ドルから1,000万ドルへ増額を要望した。
  3. ブロードバンドに対する適切な規制上の枠組みの制定
    通信産業の長期的回復のためには、ブロードバンドが重要な役割を果たすと思われる。
    ブロードバンドの発展は重要であり、ブロードバンドに対する適切な規制上の枠組み を提供するため、議会は骨の折れる1996年通信法の現行化に取り組む価値がある。FCC は基本的なブロードバンド規則の制定手続きを今年中に完了したいと考えているが、収 入を増加させ、需要を刺激し、過剰設備を活用するためには、住宅用のブロードバンドの 重要性に対して議会は配慮する価値がある。

(注)FCCパウエル委員長の議会証言:FCCニュース・リリース(2002.7.30)

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