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Global Perspective 2012
2012年7月23日掲載

Gmail SMS:ガーナ、ナイジェリア、ケニアで開始〜既存サービスの新興国での展開

グローバル研究グループ 佐藤 仁
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グーグルは2012年7月18日、Gmailを携帯電話で送受信できるサービス「Gmail SMS」をガーナ、ナイジェリア、ケニアで開始したと発表した。3G、Wi-Fiの環境がなくても、SMSさえサポートした携帯電話(いわゆる「dumb phone」)であればGmailをSMSのメッセージとして送受信できる。

アフリカにおけるGmail SMS

Gmailアカウントに電話を登録しておけば、Gmail宛のメールを、SMSテキストメッセージとして自分の携帯電話に転送することができる。SMSによるメール作成、送信も可能である。Gmail SMSは無料だが、SMSの通信料金は各キャリアが設定した料金をキャリアに支払う。
今回、Gmail SMSを提供した国々で、同サービスを利用するには、事前にパソコン上でGmailアカウントに送受信する携帯電話の番号を登録しておく必要がある。PC上での登録は非常に簡単であるが、PC環境のない人が直ぐに利用するには少々ハードルがある。アフリカ諸国では地方に行けば行くほど、携帯電話(多くはdumb phone)は持っているがPCは持っていないという人が多いので、まずは都会でPCも使用している人から中心に利用されていくのだろう。

(図1)Gmail SMS (左)メッセージ作成画面 (右)メッセージ受信画面

グーグルはアフリカにおいても積極的に事業展開をしており2009年6月にはウガンダで「Google SMS」というサービスの提供を行っている。Gmail SMSは2011年3月にアフリカのウガンダ、タンザニア、マラウィにおいて提供を開始している。

Gmail SMSの提供によって、グーグルはGmailユーザの新規獲得および既存顧客への付加価値提供が期待される。通信事業者にとっても、Gmailアカウントと携帯電話番号を紐付けることによって、ユーザがその電話番号を保持し続けてくれ、SMS通信費収入が入るというメリットが期待される。アフリカのような新興国では一人が複数枚のSIMカードを保有しており、電話番号への執着心と通信事業者への愛着心が少ないことから、通信事業者の乗り換えは日常茶飯事である。その点からもGmailを利用してもらうことによって、ユーザがその番号を保有し続けてくれることは重要である。

今後も成長の期待できる新興国市場

今回Gmail SMSの提供を開始したガーナ、ナイジェリア、ケニアと、2011年3月に提供したウガンダ、タンザニア、マラウィの6ヶ国における携帯電話概況について見ていきたい。
これらの国々ではアフリカの多くの諸国と同じ様に2Gでプリペイド式の携帯電話が圧倒的で多くの人が一人で複数枚のSIMを保有しているにも関わらず、普及率はまだ100%を超えていない。まだまだ携帯電話を保有できない人々も多い。携帯電話の普及においても成長の余地は大きく残っている。また、ケニアを除いて3Gの普及率は10%に満たない。

(表2)アフリカ6カ国の携帯電話概況

世界銀行は2012年7月17日に、世界の携帯電話契約数が60億件を超えたと発表した。そのうち50億が発展途上国である。しかし、この60億という数字はプリペイドの契約者数も含まれている。繰り返しになるが、海外では一人で複数枚のプリペイドのSIMカードを保有していることが多い。そのため、60億人が携帯電話を保有しているという訳ではない。

2000年には全世界で携帯電話契約数は10億であった。ここ10年の間で急速に普及してきた。アフリカをはじめとする新興国では、まだまだこれからも携帯電話の普及が見込まれる。それに伴い付随する様々なサービスの発展も同時に期待される。新興国をはじめ全世界では3GやWi-Fiの環境がなく携帯電話を「電話とSMSのみ」で利用している人々が圧倒的に多い。グーグルがGmailをSMS経由で提供したように、既存のサービスやコンテンツをそのような新興国市場において提供するための工夫が問われてくる時代になっている。

  • 新興国農村における携帯電話の活用とウガンダの事例
  • ガーナ:新産業として注目されるICTとBPO〜世界銀行の取組み
  • *本情報は2012年7月19日時点のものである。

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