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Global Perspective 2012
2012年8月13日掲載

アフリカで急成長している携帯電話端末メーカ「Mi-Fone」

グローバル研究グループ 佐藤 仁
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アフリカを中心に急成長している携帯電話端末メーカ「Mi-Fone」について見ていきたい。日本では馴染みがないが、アフリカ市場ではブランドが浸透してきている。

急成長するMi-Fone

Mi-Foneはアフリカのウガンダ出身でインド系のAlpesh Patel氏が2008年4月に設立した新しい会社である。彼は自らのことを"Indian Blood...African Heart"(インド人の血が流れているが、心はアフリカ)と称している。
2008年の設立設立以降、現在までにアフリカ12カ国(アンゴラ、コートジボワール、コンゴ、ガンビア、ケニア、モーリシャス、ナイジェリア、ルワンダ、セネガル、南アフリカ、タンザニア)にストアがあり端末販売をしている。とはいえ、携帯電話はもはやコモディティであり、アフリカをはじめとする新興国では中古品市場が盛況なため、これら12カ国以外でもMi-Foneの端末は見かけるようになった。インドやフィリピンでも多く出回るようになった。
そして設立から3年目の2011年までには100万台の携帯電話を出荷している。Mi-Foneは2017年までに5億台の携帯電話出荷をミッションとして掲げている。

安くても品質の良い製品開発を目指して

Mi-Foneは既に14機種の端末をリリースしている。アフリカの市場特性に合わせて2Gのみに対応した端末もある。ローエンド端末はMediaTekのチップをベースに開発している。約20〜50ドルの価格レンジである。Android OS搭載のスマートフォンも2機種リリースしており、それらが約80ドルである。
Mi-Foneの主要市場はアフリカである。アフリカではまだ高くて高機能な端末は高嶺の花である。彼らはそのようなアフリカ市場でも受け入れられるような価格設定を行い、かつデザインや仕様でも見劣りしないような製品開発を行っている。

(図1)Mi-Foneの製品

(図1)Mi-Foneの製品
(左)Mi-Q100(2Gのみ) (中)Mi-3000(2G/ 3G対応) (右)Mi-A303(Android OS搭載 3G)

バッテリー持続60日の「Mi-3000」

アフリカ市場の特性を活かした端末開発を行っているMi-Foneが開発した端末として、バッテリー持続が60日間という「Mi-3000」である(図1の真ん中)。アフリカでは携帯電話が急速に普及している。しかし都市部を離れると電気さえ満足に通っていない地域がまだ多数ある。そのような地域でもの多く人が携帯電話を保有している。彼らは充電するために、乾電池の充電機をよく利用している。乾電池の充電機で充電したまま電話をしたり、SMSを送受信している人もよく見かける。Mi-3000ではフル充電すれば60日間はバッテリーが持つのである。電気がほとんど通っていないルーラル地域の人々にとっては非常に有益な端末であろう。
さらに、Mi-3000ではOpera Miniブラウザを搭載しているため、インターネットへのアクセスも可能である。アフリカのルーラル地域で電気も不足している人々の生活を大きく変えようとしている。

(図2)アフリカでの乾電池の充電機

(図2)アフリカでの乾電池の充電機

アフリカでのブランドの確立に向けて

アフリカで人気のある携帯電話メーカはノキアやサムスンである。それらの多くは中古品としても人気が高い。しかしMi-Fone端末はデザインや機能の観点ではアフリカ市場に多く出回っているノキアやサムスンのローエンド端末と比較しても遜色ない。後発なので、ブランドの強化が必要である。そこで、Mi-Foneでは、"Mi-Fone...The FIRST African Mobile Devices Brand." という標語を掲げて、アフリカでのブランド浸透に取り組んでいる。さらにはアフリカの歌手や俳優を起用して宣伝活動を行っている。テレビ広告の中では、”In Africa we have more fun than in Finland”というメッセージもあり、フィンランドのメーカへの対抗を表しているかのようである。

(図3)Mi-Foneのロゴとポスター

(図3)Mi-Foneのロゴとポスター

アフリカから他の新興国に向けて

アフリカだけでなく多くの新興国では携帯電話によってコミュニケーション方法も情報の発信・受信も大きく変わってきた。そこに住む人々にとって購入可能な価格で端末を提供することによって新興国を中心に市場への浸透も速いだろう。
特にバッテリーの持続性が良い端末はアフリカだけでなく、世界中の多くの新興国で有益であろう。携帯電話は保有しているが電気の通っていない地域は世界中にまだたくさんある。そのような地域も市場としてのポテンシャルは大きい。既にインドやフィリピン市場では受け入れられている。
今後、Mi-Fone端末の普及拡大、ブランドの浸透、アフリカ以外の新興国地域への進出には期待している。コモディティ化している携帯電話端末市場においては、これからはこのようなアフリカの新興メーカとの競争になってきている。

【参考動画】Mi-Foneのテレビ広告

【参考動画】Mi-Foneの広告メーキング映像

*本情報は2012年8月10日時点のものである。

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