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情報通信 ニュースの正鵠
2013年3月12日掲載

インターネット規制議論、次の正念場は2014年秋のITU全権委員会議

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昨年12月にドバイで開催された国際電気通信連合(ITU)の2012年世界国際電気通信会議(WCIT-12)が、インターネットの規制を巡って紛糾したことを以前紹介した(参考レポート)

その際、「WCIT-12の議論は終わったが、インターネットの今後の方向性を決定づける駆け引きは、これから本格化していくことになる」と書いたが、今回は、そのスケジュールに関する話。

◆◇◆

先週木曜日(3月7日)にGLOCOM(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター)で開催された「IGF Baku報告会」(注)の後半で、総務省情報通信政策研究所の仲矢所長が「インターネット関連の国際的な議論の動向」と題して講演を行った。これは、ネット規制の動向をウォッチングしている人は、是非とも聴いておくべき内容だと思う。

IGF Baku報告会模様はUStreamで視聴可能
(仲矢所長の講演は2時間11分30秒頃から)

Video streaming by Ustream

講演資料「インターネットに関する国際的な議論の動向」(PDF)はこちら

仲矢所長は、ネット規制に関する今後の重要なイベントとして、2014年秋に開催されるITU全権委員会議と2015年末の国連総会を挙げた。なかでも、ITU憲章/条約の改正について話し合いが行われる2014年のITU全権委員会議における議論は、インターネットの規制枠組みに直接的な影響を与える可能性がある。

同会議でどのような議論が行われるのかは、今後行われる地域毎の会合を経てからでないとはっきりしないが、「電気通信(telecommunications)」という用語の定義を修正する提案が出されるかもしれない。「用語の定義の修正」というと地味な印象を受けるが、そのインパクトは決して小さくない。

昨年のWCITは、インターネットに関する条項を国際電気通信規則(ITR)に入れるかどうかで紛糾した。最終的に、規則本文には「インターネット」という用語を入れず、インターネット関連条項を「法的拘束力を持たない付帯決議」とする妥協案が作られた。それでも結局、55ヶ国もの国が署名しなかった。

全権委員会議で議論されるITU憲章/条約はITRよりも上位の規定である。ITU憲章において「電気通信にインターネットが含まれる」ことが明白に示されれば、ITUはインターネットの規制を議論する場としてのお墨付きを得ることになる。

そうなれば、米国主導で創り上げてきた現在のインターネットの枠組みに不満を抱く国々にとっては朗報だ。その一方で、現在の体制を維持したいと考えている国々(米国を中心とする西側先進諸国)にとっては、不透明感が増すことになる。

大国(常任理事国)に拒否権が与えられている国連の安全保障理事会とは違い、ITUの議決権は平等だ。

13億の人口を抱える中国も、1万人のツバルも同じ一票。ネットの人口普及率が90%を超えるスウェーデンも、1%しかないミャンマーも同じ一票。第4世代携帯電話(LTE)の商用サービスが始まっている国も、これから3G携帯ネットワークの整備を進めようとしている国も同じ一票。インターネット発祥国を自認する米国も同じだ。

一国一票の多数決によってインターネットに関わる諸問題が決定されるとすれば数がモノを言うことになるが、ITU加盟193カ国のなかでいわゆる「西側先進国」は少数派だ。

もちろん「途上国」と呼ばれる国々の利害関係がすべて一致しているわけではないので、実際には個々の事案ごとに是々非々での判断になるが、単純な色分けの上では「先進国」は劣勢になる。

そうなると、「交渉によるコンセンサスの模索」がこれまで以上に重要になる。しかし、仲矢所長は「今後、途上国側が、どこまで妥協してくれるのかがよく見えなくなっている」とコメントされていた。なぜかというと、昨年12月のWCIT議論の決裂は、途上国側には「相当に譲歩したのに結局先進国側が署名してくれなかった」と映っているからだ。

「インターネット関連条項を法的拘束力のない付帯決議に落とした」ことは、彼らにとってみれば、ネットの規制につながる可能性を懸念する米国を中心とした先進国側の主張に配慮した結果だった。しかし、譲歩しても結局のところ同意を得られる可能性がほとんどないのであれば、妥協などせずに、多数決で決めてしまった方が手っ取り早いし効率的だ。

まだ仮定の話ではあるが、途上国側が電気通信の定義を修正し、インターネット規制をITUの管轄権に含めようという提案をした場合、先進国側はどう対応するのか。WCITの時のように、先進国が署名を拒否し、新旧二つのITU憲章/条約が並存することになるのか。

2014年のITU全権委員会議は、現在のインターネット体制を維持しようとする国々にとって正念場の一つになりそうだ。

(注)IGFとはInternet Governance Forumの略で、その名の通り、インターネットのガバナンスについて議論を行う国際フォーラムである。2006年にアテネで開催されて以降、毎年開催されている。3月7日の報告会は、昨年11月にアゼルバイジャンの首都バクー(Baku)で開催された2012年度の会合について参加者が報告を行ったもの。

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