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情報通信 ニュースの正鵠
2013年9月3日掲載

米国事業の売却でボーダフォンが手にする1,300億ドル(13兆円)の使い途〜大半が株主への還元で、大型M&Aに使う予定はなし?〜

(株)情報通信総合研究所
グローバル研究グループ
清水 憲人
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昨日(9月2日)、ボーダフォンが保有するベライゾン・ワイヤレスの45%を、ベライゾン・コミュニケーションズ(以下「ベライゾン」)が総額1,300億ドル(約13兆円)で買い取ることが発表された。

業績好調な携帯子会社を完全子会社化したいベライゾンと、出資した持ち分から少しでも大きなリターンを得たいと画策するボーダフォンの間の、長きにわたる駆け引きに、ようやく決着がついたかたちだ。

そういう意味では、取引自体に驚きはないのだが、1,300億ドルという金額のインパクトは大きく、世界中でさまざまなメディアが大きく取り上げている。ちなみに、今回のディールが噂になる前の時点で、ボーダフォンの株式時価総額はおよそ1,500億ドル弱であった。したがって、ベライゾンは、もう少し上積みすればボーダフォンを丸ごと買収できるくらいの金額を支払ってまで、ベライゾン・ワイヤレスの100%子会社化にこだわったということができる(200億ドルを「少し」と表現することが適切かどうかという問題はあるが...)。

本稿では、今回の買収劇で支払われることになる、1,300億ドル(注1)の内訳とその使い途について解説しよう。

(図表)1,300億ドルの使い途

(図表)1,300億ドルの使い途

上図の通り、買収金額のうち602億ドル分が株式交換であり、現金で支払われるのは589億ドルである。ちなみに589億ドルというのは、買収に関して支払われる現金の額としては、史上最大である。

一方の使い途だが、ボーダフォンは、受け取るベライゾンの株式(602億ドル相当)と、現金239億ドルの合計841億ドルをボーダフォンの株主に還元する。ウォール・ストリート・ジャーナルの記事(注2)によれば、税金と株主還元分を除くとボーダフォンの手元に残る現金は、およそ300億ドルになる。

ボーダフォンはこの300億ドルのうちおよそ93億ドル(60億ポンド)を、ネットワークやサービスの高度化に向けた投資プラン「Project Spring」に投じる予定である。

すると残りは207億ドルということになるが、ボーダフォンは今年の6月末時点でおよそ387億ドル(249億ポンド)の純負債を抱えており、かなりの部分を負債の削減に回すのではないかと指摘されている。

通信業界では、ベライゾン・ワイヤレスへの出資分を売却すれば巨額の資金が手に入るため、それを元手にボーダフォンが別の大型M&Aを行う可能性があると噂されてきた。しかし、ボーダフォンが手にする1,300億ドルは、そうした拡大戦略ではなく、株主還元や既存事業への投資を通じた企業価値の向上目的で使用されることになるようだ。

(参考情報)

(注1)買収器金額の「その他109億ドル」のなかには、「ベライゾンが保有するVodafone Omnitel社の株式をボーダフォンが35億ドルで買い取る」取引が含まれており、ボーダフォンが受け取る金額の総額が1,300億ドルというわけではないが、そうした取引の金額を除外すると話が複雑になるため、本稿では「1,300億ドル」という表記で統一した。

(注2)Wall Street Journal Online 2013.9.2 “Vodafone Won't Use Sale Proceeds for Major Acquisitions”

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