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情報通信 ニュースの正鵠
2013年10月30日掲載

10年ぶりに通年で減益となったアップルの2013年度業績をまとめてみる

(株)情報通信総合研究所
グローバル研究グループ
清水 憲人
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昨日(米国時間10月28日)、アップルが2013年度第4四半期の業績を発表した(注1)。

四半期業績の内容についてはさまざまなメディアが既に報じているので、そちらに譲るとして、本コラムでは、2013年度の年間業績がどうだったのかについて解説してみたい(注2)。

まず初めに、アップルの過去22年間の業績推移をグラフにしてみた。

(図1)アップルの業績推移

(図1)アップルの業績推移

(出典:アップル社の各年度アニュアル・レポートより筆者作成)

アップルは2003年以降、実に9年間、営業利益ベースで増益を続けてきたが、10年ぶりに減益となった。また、売上高の伸びも過去数年と比較すると明らかに鈍化している。

次に、「成長率」に着目してみる。

(図2)アップルの成長率変化

(図2)アップルの成長率変化

(出典:アップル社の各年度アニュアル・レポートより筆者作成)

表からはアップルの2013年度の売上の伸びが9%にとどまったことがわかる。またグラフからは、利益の成長率と売上高の成長率が、2012年度から2013年度にかけて逆転したことがわかる。

アップルがここ数年間、二桁の増収増益を続けてきたことはよく知られているが、実はその間、利益の成長率が常に売上の成長率を上回っていた。つまりアップルは、「毎年二桁の増収を続けながら、利益率も向上させ続ける」という、普通では考えられないような離れ業を成し遂げていたわけだ。

これは、近年アップルの主力製品になってきたモバイル製品(2007年に発売されたiPhoneと2010年に発売されたiPad)の利益率が、従来の主力製品であるMacやiPodよりも高く設定されていたことを示唆している。つまり、売上に占めるiPhoneやiPadの比率が高まれば高まるほど利益率も向上するという好循環が繰り返されてきたのだ。

ではなぜ、その好循環は終焉を迎えることになったのだろうか? 
答えのヒントは製品別売上高データの中にある。

(図3)アップルの製品別売上高

(図3)アップルの製品別売上高

(出典:アップル社の四半期業績発表資料より筆者作成(2013年第3四半期決算数値に、第4四半期速報値を加算))

2013年度はiPadの売上が3.3%しか伸びなかった。しかしよくみると、販売台数は22.7%も伸びている。つまり販売は引き続き好調だが、単価が低下しているのだ。売上高を販売台数で割ってみると、2012年度に531ドルだったiPadの単価は2013年に447ドルになっており1年間で84ドルも低下した計算になる。

アップルは2012年11月に、従来よりも画面が小さく価格も安いiPad miniを発売した。販売実績は公表されていないが、売れ行き好調であるという。しかし単価が低いiPad miniの比率が高まれば、必然的に単価も下がっていく。また、グーグルのnexus 7やアマゾンのKindle Fireの対抗製品として投入されたiPad miniは、従来のiPadよりも利幅が小さいと言われている。そのため、iPad miniへの依存率が高まると、単価だけでなく利益率も低下してしまう。

つまり、成長を牽引すべき最も新しい製品であるiPadが、ライバル製品との競争のなかで利益率を低下させ、さすがのアップルも業績を悪化させ始めたというわけだ。

もっとも2013年度のアップルの営業利益率は28.6%もある。以前解説した通り、これは端末メーカーの中では極めて高い数値であり、依然としてアップルが業界内で突出した好業績企業であることには変わりない。

しかしながら、アップルの驚異的な成長トレンドは明らかに終焉を迎えた。

相対的には好調と言えるiPhoneもこれまでと比べれば伸び率は鈍化している。2011年度は87%、2012年度が71%の増収であったが、今後そうした爆発的な成長は期待できない。

またMacの売上が減少したことも気にかかる。iPadが発売された当初、MacのユーザーがiPadに流れることを懸念する声もあったが、iPhoneやiPadの人気に牽引されるかたちで、むしろMacの人気は高まった。実際、iPadが発売された2010年以降、3年続けてMacの売上は増加していた。それが減少に転じたことは、地味な変化ではあるが、アップルの戦略上重要な意味を持つ可能性がある。

「iTunes等(iTunes、ソフトウェア、サービスの売上)」のセグメントが大きく伸びたことは明るいニュースであるが、それだけでは大きく業績を伸ばすことは難しい。

投資家からは、次なる成長を担う新製品の投入を期待する声が日増しに高まっている。

(注1)アップルの会計年度は9月締めであるため、2013年7月〜9月期が第4四半期となる。アップルの業績資料のリンク(http://www.apple.com/pr/library/2013/10/28Apple-Reports-Fourth-Quarter-Results.html)

(注2)数値の一部は、第3四半期までのデータに第4四半期の速報データを組み合わせて筆者が作成したものであり、今後アップルが公表する公式な年間業績の数値とは異なる可能性がある

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