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マンスリーフォーカス
No.31 February 2002

世界の通信企業の戦略提携図(2002年2月12日現在)

 永らくご愛読いただいております「マンスリーフォーカス」は、3月より有料サービスへ移行させていただくことになりました。InfoComニューズレターでは、「概要」と「提携図」をご提供させていただきます。今後ともよろしくお願い申し上げます。
 なお、有料サービスに関するお問い合わせは 03-3663-8020 までお願いいたします。

91.ヨーロッパ通信事業2002年の展望(概要)

 2002年のヨーロッパ通信事業の見通しは、基幹通信事業者の2001年決算が予想外に悪くないので、小康状態の2002年が予想される。ただ、好転を予想して好意的に放置されている(benign neglect)ための小康状態で、本質的に良いとは言えない。DTは時価総額800億ユーロに匹敵する債務を抱え、FTは時価総額を超える650億ユーロの債務を抱え、KPNの債務は時価総額のほぼ2倍にあたる。移動通信事業についても3G携帯電話が2002年下半期以降登場すると市場を再活性化すると見る楽観説と収入単金低下や3G携帯電話免許負担で押しつぶされると見る悲観説が交錯している。また、英国政府は2002年1月25日に携帯電話が健康にもたらす悪影響の調査を命じたと発表した。3G携帯電話の健康問題が再燃するか注目される。

92.バルブ崩壊の後に続くもの(概要)

 米国の景気回復が米国内および世界的に注目されている時、バブル崩壊の綻びのなかでエンロン疑惑問題が浮上し米国流経営の根幹である企業会計制度への不信を招いている。通信業界でもグローバル・クロッシング(GC)の倒産法適用申請についてSEC(証券取引委員会)の調査やFBIの捜査が始まり、上院銀行委員会や会計検査院も予備調査を開始した。
 一方、2001年以来の通信不況のなかで、従来から行われてきた中古PBX売買が拡大された形で、通信事業者の倒産に伴う撤去品や合理化に伴う転用品の競売が盛んになっている。
ベライズン(Verizon: VZ)ワールドコム(WorldCom:WCOM)のように中古品購入を否定する事業者もいれば、AT&Tのようにフルタイムで出物を探す「捕集チーム(Scavenger Team)」を設けた事業者もいる。

93.AT&Tの高度VPN展開戦略(概要)

 AT&Tは景気回復感を背景に、2002年1月23日に$2億の基幹網投資とMPLS(高度網管理)機能と iGEMS (統合グローバル企業情報管理システム)の追加によるエンタープライズ VPNサービス強化策を発表した。
 基幹網投資は、BTとの合弁事業コンサート解消の断末魔で空白となった汎欧基幹網を再構築するため、ロンドン、マンチェスター、エディンバラ、パリ、リヨン、マルセイユ、フランクフルト、ミュンヘン、アムステルダム、ブラッセル、ローマ、リスボン、ブタペストなど50箇所に高度網管理交換機能(Multi Protocol Label Switching: MPLS)を2002年末までに設置するものである。
 AT&T・BT合弁事業コンサートの解消によるヨーロッ網の空白を埋め、グローバル情報通信事業を中心に生き残りを図る戦略である。
AT&Tが2002年1月30日に発表した2001年業績速報は、売上高$525億で対前年比−5.4%だが、課税償却前利益(EBITDA)は$131億と僅かながら前期より改善した。

<寄稿> 高橋 洋文(元関西大学教授)
編集室宛 nl@icr.co.jp
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