ホーム > Global Perspective >
Global Perspective 2011
2011年9月14日掲載

南アフリカ:VodacomとAbsa銀行によるモバイルペイメントへの取組み

グローバル研究グループ 佐藤 仁
[tweet]

 2011年8月、南アフリカ最大の通信事業者Vodacomが南アフリカ最大の銀行Absaがモバイルペイメント分野で提携したと報じられた。

Absaは2011年7月8日にカードをかざすだけで買い物ができる「Tap-and-Go」ペイメントが9か月のトライアルを終えて、イノベーションなサービスとして市場に出すと発表した。発表時には、「In future, this payments infrastructure in retail outlets will also allow Absa customers to make tap and go payments via their mobile phones.」とコメントしていたが、1ヶ月後にはVodacomとの提携を行うことになった。

 まずはミッドランド(ヨハネスブルグ)にあるVodacom WorldのコーヒーショップでNFCを活用したモバイルペイメントのトライアルを行う。

 南アフリカは携帯電話加入者数が約5,160万で、普及率は103%を超えて、もはや成熟市場になっていきている。通信事業者にとってもエリアカバレッジと価格競争以外にサービスでの差別化が必要になってきている。

 VodacomはAbsa銀行のライバル会社であるNEDBANKと提携して、アフリカでは生活インフラとなっている携帯送金サービス「M-PESA」を提供している。

 今後、Absa銀行とVodacomは南アフリカだけでなく他の国でも展開していきたいと述べている。

V odacomはイギリスVodafoneのグループ会社で、アフリカでは、以下の5か国で展開している。括弧内は同国シェア順位。(2011年3月時点)


1.南アフリカ:Vodacom南アフリカ
  シェア:46.8%(1位)
2.レソト:Vodacom レソト
  シェア:80.2%(1位)
3.モザンビーク:Vodacomモザンビーク
  シェア:29.6%(2位)
4.タンザニア:Vodacomタンザニア
  シェア:36.2%(1位)
5.コンゴ(CDR):Vodacomコンゴ
  シェア:36.7%(2位)

 GDPや携帯電話普及率は南アフリカ以外の諸国ではまだ発展途上にある。NFCによるモバイルペイメントを導入するには時期尚早かもしれない。しかし何もしないで待っていても経済も技術も発展していかない。まずは南アフリカで商用化し、徐々に他グループ会社へ展開していくことを期待している。

 アフリカではタンザニアの「Zantel」がアフリカで初の商用NFCサービス「Touch and GO」を開始すると発表している。

 いよいよアフリカにもモバイルペイメントがやってくるのだろう。アフリカでのNFCによるモバイルペイメントの普及と、それに伴う経済発展に期待したい。
アフリカでは携帯送金が生活インフラとなっているから、NFCによるモバイルペイメントも利用できる店舗と端末が揃えば意外に早く受け入れられるのではないだろうか。
今回の南アフリカでのモバイルペイメントがVodacomグループの展開するアフリカ諸国でのモバイルペイメントの礎となり、今後イニシアティブを発揮することに期待している。

 一方、欧米ではNFCによるモバイルペイメントに関しては、グループ間での提携よりも自国内の同業他社で提携が目立っている。アフリカ諸国ではどのようにモバイルペイメントが発展していくのか重ねて注目していきたい。

【参考動画:Absa銀行とVodacomの提携を伝えるニュース(2011年)】

本情報は2011年9月12日現在のものである。

▲このページのトップへ
InfoComニューズレター
Copyright© 情報通信総合研究所. 当サイト内に掲載されたすべての内容について、無断転載、複製、複写、盗用を禁じます。
InfoComニューズレターを書籍・雑誌等でご紹介いただく場合は、あらかじめ編集室へご連絡ください。