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2008年6月掲載 |
総武線快速の通勤は長くて、もう退屈だ。ボーッと外を見ていると、市川あたりに「天勇」という看板が見える。30年以上前からある気がする。ほかにも錦糸町の手前には「田中甲」とか、「天龍」とか・・・30年、通るたびに見ていると忘れない。
CBSのほか、Clear Channel、Regency という名前もよくみる アメリカでハイウェイを走っていると目立つのが、屋外看板である。これは、もうやたら多い。そして、その右下に注意するとその看板の持ち主が書いてある。最初気づかなかったのだけど、よく「CBS」と書いてあるので、少し驚いた。 CBSといえばテレビ局。違う会社かと思ったら、同じだった。しかも、屋外広告ビジネスは、CBSの売上、利益の大体15%くらい稼いでいる。昔からメディア企業は、屋外広告部門を保有している。家にいる時間が減っている現代になって、図らずもこの屋外広告部門が、CBSの成長エンジンとなっている。 CBS Outdoorという会社が、屋外広告、バス・電車の車体・車内広告を扱う。他にも、”CBS Outernet”は、スーパーの中の看板広告を販売する会社だ。CBSはテレビだけでなく、屋外広告、ローカル広告ビジネスを着々と拡大している。 ロングテールの広告枠は、無人販売するこれからは、ローカル、ターゲティング広告だ!とみんな頭ではわかっているだろうが、実際やってみるとつまらなくて、だんだん疲弊してくる。何故かというと、メディアとクライアントを組みあわせる作業が、もう面倒で、しかも儲けが少ないのだ。メディアプランを作るネット代理店の若者も大変だが、大体ビュー数とかいろんな細かい数字はメディア側が入れる慣習になっている。問い合わせが多いと、1日中エクセルとメールを打ち続ける日々だ。 CBSのようなマスメディアが、そんなローカル広告をどうやって運営しているのか、調べてみたら“Google Adsense”方式で運営していた。広告を出したい人が、CBSホームページに行き、自分が広告を出したいエリア、場所(ロードサイドか駅構内か)、どんな感じの広告にしたいかを選んで、ローカルスタッフに電話で申し込む。 グーグルは、エコスターという衛星放送の広告枠もこの方式で扱っている。日本でも電通の”CM A GOGO”というグーグルぽいサービスのCMをケーブルテレビを見ていると時々やっている。 メディアと代理店、どちらが儲かるのか、断然メディアである。ただし人気がなければダメだ。栄枯盛衰が激しいインターネットで商売するなら、広告の無人販売とメディアを集め続ける覚悟の両方が必要である。 昨年からのCBSの買収動向を見てほしい。ケータイ、南米、英国と、エリアとメディアを粛々と増やしているのがわかる。 テレビ局は、「テレビの会社」か「広告ビジネスの会社」かテレビ局、ラジオ局を売却しながら、屋外のローカルメディアを買収するCBSのメディアポートフォリオ戦略は、クリエイティブで(非連続的で)そそられる。 CBSのムーンベス会長は、メディアを「とにかくお金を儲ける」手段として割り切っていて気持ちがよい。CBSを「テレビの会社」でなく「広告メディア会社」と定義することで、既得権益への執着心も薄れ前へ踏みだせる。馬車会社が金融業に進出できたように・・・ テレビの人気コンテンツも自社のモバイル、アウトドアなどのメディア価値を高めるために積極的に配信する。CBSが、自局の動画配信に熱心なのもうなずける。 日本でもテレビ局の持株会社化がスタートする。CBSは、ハリウッド傘下のメディア・コングロマリットと違い、テレビがコンテンツのファーストウィンドウである点で、日本のテレビ局と似ている。テレビと屋外広告を融合させ、巨大媒体企業となるモデル、日本でも可能ではないだろうか。 CBSの業績、コンテンツウィンドウ戦略
一方で、テレビ・ラジオ局は売却。2006年10月から、ラジオ・テレビ合計売却額9億2200万ドル
そして、テレビ29局とラジオ140局が残る。
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