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志村一隆「ロックメディア」
2009年4月掲載
ロックメディア 第23回

Over-the-Top2 減るケーブル、増えるHulu、どっちでも儲かるハリウッド

ペイテレビ加入者⇒減っている

若い人たちが、「ウチら世代ってぇ、ケータイとか普通にあった最初の世代なんすよ〜」とよく言う。いや、もう世代とかの話ツマランから。。。必ず次に「バブル世代わぁ」と続くから。バブルっつたって、普通の人には関係なかったス。もー自分のこと話せよっ。

最近、電車で見かける女性のまつ毛はみんな長い。ちょっと前まで、「ええっ、35才には見えないですよぉー」という感じだったが、今では「えええっ、40?よんじゅうスカ〜?」という人がゴロゴロいる。東京ナイトライフだと、アラフォー、バツイチは普通だ。少子化、人口はすぐ減る気がする。皆さんの周りはどうですか?

減り続けているといえば、アメリカのケーブルテレビ、衛星放送業界も、加入者がもう1年くらい減っている。コムキャストは、3ヶ月ごとにで10万、20万という単位で減っている。


Dish NetworkComcast正味加入数推移(千件)

インターネットの動画利用者は増えている。Huluの月間利用者は、2400万人もいる。YouTubeは1億人だ(Comscoreリリース2009年3月4日)。 Huluは、2008年3月にサービス開始してから、10ヶ月でコムキャスト(テレビ加入者2,400万件)とほぼ同じユーザー数を集めた。

YoutubeとHulu、月間ユニークユーザ吸う推移(単位:千件、出所:コムスコア)
ComScoreデータから作成。 *Huluは、2008年7月のデータ無し

コムキャストは、その代わり電話契約は増えていて、加入数全米第3位の電話会社だ。なんなんだ・・・

ついでにいえば電話会社は、IPTVというケーブルテレビと同じ色々なチャンネルが見れるテレビサービスを始めている。先日、ニューヨークに居たときは、もう何回も『FiOS』のCMが流れていた。『FiOS』は、電話会社の『Verizon』という会社が提供するテレビサービスで、CMはケーブルテレビの工事に来た人とFiOSが争ってる面白いヤツだった。

それと、『St. Patrick Day』で緑の服を着ている人でいっぱいだった。アイリッシュ・バーは東京だけでなく、ニューヨークにも増殖していて、みんなでプレミア・リーグを見ている。ルールわかるの。

FiOSのテレビCM

ついでに、『Tivo』もケーブルテレビより安いっていうコマーシャルを流している。ちょっとオシャレな感じ。

映画のレンタルサービス on インターネット

VUDUHulu、Boxee、電話会社、ケーブルテレビ会社、Tivo以外にも映画を家で見る手段は増えている。例えば、『VUDU』。VUDUの機械を買って、インターネットとテレビにつなぐだけだ。売りは、DVD発売と同時期にレンタル(DVDではなくてインターネットで見る)できることだ。

VUDUの仕組み

Zillion TV's Revenue ModelZillionTV』も、機械を買ってテレビとインターネットにつなぐと映画が見れるサービスだ。こちらは広告を見れば無料で見れる映画も用意してある。広告を見るたびにポイントが付くサービスも検討している。

ZillionTVのビジネスモデル

ZillionTVもVUDUもベンチャー企業で、ハリウッド映画会社がバックについている。映像配信業界にも、ベンチャー魂が宿っているところが面白い。

ドラマを作っている側

アメリカではハリウッドの映画会社がテレビドラマを制作、テレビ放送のあとは、自分たちの工夫で儲けることができる。著作権が制作者側にあるからだ。

2009年-2010年シーズン、各ネットワーク局、新作ドラマの制作プロダクション
( 2009-10 Broadcast Network Pilots, Variety, p14, February 23-March1, 2009)
放送局/
制作会社
ABC Warner
Bros.
CBS
Paramount
Sony 20th
Century Fox
Universal
ABC 14 7 0 2 2 0
CBS 1 4 11 3 1 1
NBC 0 1 0 2 0 8
FOX 0 2 0 2 7 0

Viacomは、(表中のUniversal、サムナー・レッドストーンとかユニバーサル・スタジオ・ジャパンとか)は、ハリウッドの映画会社MGM、Lions Gateと一緒に有料チャンネルを作るなんてことを言っている(2008年1月-3月期決算短信p2の9行目)。

ハリウッド側にもベンチャー魂が宿ってるところが、面白い。

90年代半ば、インターネット革命のポイントは、ミドルマン(Middle man)=中間取引業者=流通の排除だ、ってことをよく読んだ。要は、生産する人、何かを生み出す力のある会社しか、存在価値がなくなる(あくまで、商売的にですよ)。Time WarnerのJeff Bewkes CEOは盛んに、「我々は‘Pure Contents Company’を目指す」と言っている。

今まさに、動画の世界はインターネット革命の真っ最中。インターネットのカンブリア爆発は、まだまだこれから起こることを日々実感してる。

ハリウッドのコンテンツウィンドウ戦略

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