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2011年6月8日掲載 |
弊社刊行の「モバイル通信ニューズレター4月号」に掲載した「スマホ」利用体験に引き続き、その後の進展を述べてみたいと思います。 「スマホ」を使ってみてまず「ガラケー人間」の最大の懸念は、月額使用料がどれ位になるかでした。最初の請求書が何と8,000円を超えたため、それ以降はYouTubeなど動画を見ることを控えましたが、それでも「二段階定額料金」プランのデータ利用上限額の約6,000円に簡単に達することが分かりました。その後も毎月7,000円を超える利用料になっています。やはり「スマホ」利用者は、上限を気にせずにデータ通信の使い放題にメリットがあると思います。上限を気にしなければ、ヘビーユーザーの多くは「スマホ」で必要な情報が得られるため、新聞、本、雑誌も購読せず、場合によってはPCも利用しなくなるかもしれません。結局、他に使っていたお金がスマホに吸収された形になって、トータルの出費としてはバランスがとれることになります。 「スマホ」の特徴は何と言ってもアプリケーションの多さで、自分に合ったアプリをダウンロードして自由に使える点だと思います。アプリを使いこなせない「ガラケー」人間にとっての便利な点は画面拡大機能です。その後も撮った写真の拡大が出来ること、ビデオメッセージの利用などスクリーンの大きさが生かせる映像サービスなどにメリットを感じています。
一方、最大の問題点はやはり電力消費が極端に早いことです。動画を見なくても、ほぼ毎日充電しなくてはいけないので出張、旅行に行く場合には充電用のアダプターが必携になります。今後、更に便利になればなる程、バッテリーの問題がネックになってくると思われます。 「スマホ」による増収効果音声通話料の伸びが頭打ちになるなかで、携帯各社はデータ通信料の伸びを期待して新たな「スマホ」の機種を次々に投入しています。ある調査会社の見込みでは2012年度にも「スマホ」が出荷台数の過半数を占め、5年後には総契約数で従来型の携帯電話機数を逆転するという見通しを立てています。「標準機」携帯に比べARPUが毎月1,000円増収になると仮定すると、収益面からみると半数が「スマホ」に置き換わる5年後の2015年〜16年には携帯事業者全体で5,000億円の増収、全ての携帯電話機数約1億台が置き換わった時点で1兆円を超える増収効果があると試算されます。ただし、各社は「スマホ」の販売に力を入れており、家電量販店など代理店販売手数料が「標準機」携帯販売に比べ大幅に高いと想定されること、また販売競争による値下げの動きがあることなど、収益押上げ効果がどの程度になるかは各社の業績が出揃うまでも待つ必要があると思われます。 スマホで巻き返しなるか 「ガラパゴス化」で日本の携帯メーカーが国際競争力を失ったといわれますが、「スマホ」の登場により巻き返しがなるかどうかが注目されます。最近の報道によると「スマホ」の材料、部品の約35%が日本製であると言われています。今回の震災でも被災地地域におけるこれら部品・材料製造の重要性があらためて浮き彫りとなりました。韓国のサムスンやLGがグローバル展開して「スマホ」を売れば売るほど日本の材料、部品メーカーが儲かる構図になっていると言えましょう。 |
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