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InfoComアイ
1996年8月掲載

情報通信革命はいつ来るか?

1.新しい動きに乗り遅れるな!

 マルチメディア、インターネットなど情報通信に関する関心が異常に高まっている。中央省庁、地方自治体、各種産業、マスコミ、ビジネスマン、学生などそれぞれが情報通信インフラの構築、EC(エレクトロニック・コマース)、バーチャルモール、イントラネット、電子マネー、ホームページ、ネットサーフィンなどのキーワードに見られるような活動、実験に精を出している。
 マスコミの報道によればいかにもあらゆる分野で情報通信革命が進んでおり、明日にも世の中が変わってしまうかのように思われるが本当にそうだろうか。
 確かに世の中が情報通信革命に向けて動き出していることは疑いないが、またそれに今から取り組まないと将来追い付けない恐れもないとは言えないが、だからといって今のブームは実体の少ない流行のような気がしてならない。

2.政策、活動、実験の実態

 さまざまな組織が情報通信革命に取り組んでいるにもかかわらず、その歩みはそれほど速くない。
 いくつかの例をあげてみよう。

  1. インフラとなる法律、制度の改革は進んだか
  2. インフラとなるネットワークの整備、低廉化は進んだか
  3. ユーザーがぜひ使いたいアプリケーションが開発されたか
  4. 社員が簡単に使え、全社的に機能しているイントラネットがどれだけあるか
  5. コンピュータシステムに対する社長から社員に至る知識、理解、意識がどれだけ変わったか
  6. 電子マネー、電子決済のシステムはいつから使えるのか
  7. 見て楽しめる、ためになるホームページがどれだけあるか
 どれをとってみてもまだこれからという段階であってしかもいつから本格的になるのかの見通しも見えないものばかりである。

3.方向の転換が必要だ

 今まで述べた情報通信革命への取り組みはトップダウンのタイプが多い。つまり、コンピュータ、通信に強い人々が彼等の知識を前提として、弱い人々を教育、リードしようとしている形である。平たく言えば数学に強い人々が、数学とか方程式と聞いただけで寒気がする人々に微積分を教えようとしているようなものである。これでは全体のレベルはなかなか上がらない。
 情報通信革命の出発点はユーザーであり消費者である。
ボトムアップの発想こそ必要なのだ。コンピュータのコの字も知らない人が使ってみたいと思うようなアプリケーションを提供することが必要なのだ。
そのためにはまずユーザー、消費者の意識、ニーズ、価値感を分析することから出発しなければならない。
 何も知らない人の視点に立って何を開発したら皆が使ってくれるかを考えなければならない。
 今からでも遅くないからボトムアップの発想に転換することをすすめたい。

取締役 通信事業研究部長 小澤 隆弘
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