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1997年1月掲載 |
1997年における国内電気通信の展望1997年の電気通信産業がどの様に動くかについてはトピックスの中で課題別に論じているので、ここでは1997年が4年後に迫った21世紀を展望したときにどの様に位置づけられるのかを考えてみたい。 1.情報産業の主役はコンピュータソフト産業に コンピュータが通信端末として重要な役割を担うようになって以来、電気通信はネットワークインフラとしての重要性こそ何とか維持しているが情報産業を引っ張る牽引車としての主役の座を降りつつある。 2.通信事業者の変身の可能性通信事業者がいわば情報のパイプライン屋になるとすると事業の発展は何にかかってくるのだろうか。通信事業は基本的には誰でもできる事業になる。但し一般の産業と違うのは自分で回線設備を持って事業を行うためには公的な空間や電波という資源を借りる必要があるということである。この権利は誰にでもというわけには行かないだろうから一定の資格制限が課せられるだろう。しかし回線設備を借りて事業を行うことには何の制約もないということになる。 通信回線を提供する事業が薄利多売型のインフラ産業的色彩を強めるということになるとハイリターンは望めない。ハイリターンが望めるのは通信回線を借りてアプリケーションやコンテントを提供する事業ということになる。 大きな設備を抱えてそれを運営することで利益を上げてきた設備産業的な従来型の通信企業はいわば大艦巨砲型の企業であり、時代のニーズの変化によっていきなり戦闘機に乗って空中戦をやるようなアプリケーションやコンテントの世界の競争に対応できるとは思えない。選択肢は二つあって一つは従来のノウハウを守って回線貸し業に徹する行き方ともう一つは人を入れ替えて新しい周辺マーケットへ出ていく行き方だろう。 欧米の有力企業が時代の変化に対応するために外部の人材を入れ従業員の半分が入れ替わってしまうような大胆なリストラを行っている。そうした変身を遂げない限り電気通信産業が新しいマーケットで成功を収めることは困難だろう。 3.産業規制はどうなる? 通信回線設備の運用に関与しない情報関連ビジネスは基本的に自由競争に任されるだろう。通信回線を提供する事業については規制が残らざるを得ない面がある。 このように見てくると規制は今後監視のための基本的なルール作りとそれに則った監視が主な仕事であって企業活動を制約するような規制は順次撤廃して行かなければならない。 4.1997年の位置づけ 規制当局にとってはどの規制をどの様な条件で廃止していくのかを考える、そうした発想の転換を行う年が1997年なのではなかろうか。 1997年を電気通信産業の新たな起業の年にできるならば、21世紀にわが国の情報産業がアメリカに追いつき追い越すことも夢ではない。 |
取締役 通信事業研究部長 小澤 隆弘 e-mail:ozawa-t@icr.co.jp |
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