ホーム > Global Perspective 2011 > |
2011年9月27日掲載 |
2011年は、ソビエト連邦が崩壊した1991年から20年目にあたる。 記事のタイトルは「How e-mail helped Yeltsin outfox 1991 coup plot」で2011年8月16日にAFP通信から報じられている。 1991年8月19日、旧ソビエト連邦ロシア共和国大統領だったエリツィンは、改革路線に反対するソ連共産党守旧派が起こしたクーデターを阻止するという歴史的な挑戦に出た。共産党守旧派のクーデターによって、放送局は全て占拠され、新聞社は閉鎖され、情報は完全にクーデター勢力の統制下に置かれたのだ。 しかし、KGBでさえもまだ知らない、エリツィンは聞いたこともなかった通信手段があったのだ。それが技術専門家チーム(a team of geeky technicians)が開発していたソ連の電子メールシステム、「RelCom」だった。 「RelCom」に関わっていたMaria Stepanova氏は、クーデター数か月後、エリツィンに説明した時、エリツィンは「"And there I was thinking: the newspapers are closed, the radio is not working, television is down -- and the people still know. So you were the one responsible!"」(新聞は閉鎖され、ラジオもテレビも機能していなかった。それでも国民が(自分の声明を)知っていた。君たちがやってくれたのか!)と言って驚いたと語っていたそうだ。 ソビエト初のプライベートコンピュータネットワークでインターネットに承継される「RelCom」はモスクワ郊外のKurchatov研究所からスタートしている。 ソビエト崩壊1年前の1990年、コンピュータ・ファイルを電話回線でフィンランドへ送信しようとしたところ、インターネット初期の電子掲示板フォーラムの「UseNet」へ流れたのだ。これがまさに「The breakthrough came」であった。 そして翌1991年、クーデターが起きた時、このシステムを利用して歴史が変わったのだ。「"We realised that something big was happening and that people needed to know,"(何か重要なことが起きている。みんなが知るべきことだ)」とMaria Stepanova氏は語っている。 おそらく「RelCom」のネットワークを利用する誰かが、Faxでエリツィンの声明を受け取り、それをネットワークに投稿していたのだろう。「RelCom」は"eyewitness account"というタイトルで「RelCom」上のメッセージを「UseNet」へ転送していた。 西側諸国に情報が流出している(漏らしている)ということに対しての恐怖は当然ながらあったようだ。しかしKGBが「RelCom」チームを解散させたり、メンバーを逮捕しようとしなかったのは大きな謎であったと書かれている。 "I think the KGB had a suspicion that something untoward was happening," "They understood that we were engaged in some sort of international telephone negotiations. That something was happening. And then they saw the modem. But they could not make the link." と同氏は語っている。 ソビエト崩壊、冷戦終結から20年が経ち、もはやインターネットも電子メールも携帯電話も人々の日常生活では欠かせないものになってきている。インターネットが人々の生活の中に当たり前のように登場してきたのは、1995年にマイクロソフトからWindows 95が販売されてからだろう。冷戦終結4年後のことである。その後の世界への普及は言うまでもない。 2010年末から始まった中東での革命では、情報を国家によって遮断・規制することも難しくなってきたのがわかった。 【参考動画:ソビエト崩壊20年を伝えるニュース(2011年)】 本情報は、2011年9月18日現在のものである。 |
▲このページのトップへ
|
InfoComニューズレター |
Copyright© 情報通信総合研究所. 当サイト内に掲載されたすべての内容について、無断転載、複製、複写、盗用を禁じます。 InfoComニューズレターを書籍・雑誌等でご紹介いただく場合は、あらかじめ編集室へご連絡ください。 |