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Global Perspective 2011
2011年12月19日掲載

Facebook:自殺防止に向けた取組み

グローバル研究グループ 佐藤 仁
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 2011年12月13日、Facebookは「自殺防止の取組み」についてアメリカのNPO団体「National Suicide Prevention Lifeline(NSPL)」との提携を発表した。

 Facebook上で自殺をほのめかす内容の書き込みを見つけた場合、ユーザが報告できるページを用意する。そのページからの報告を受けたFacebookが投稿者にメールを送信する。そのメールには、National Suicide Prevention Lifelineの電話番号(年中無休24時間、通話無料)の掲載と、カウンセラーとのプライベートチャットが行える機能を提供する。(チャット機能は米国とカナダでのみ利用可能)現在はアメリカとカナダのユーザが対象。

 National Suicide Prevention Lifelineによると、アメリカでは自殺者が毎日約100人おり、1年間に自殺を考えたという18歳以上の人が800万人を超えているそうだ。

 2011年12月現在、両国のFacebook利用者数は以下の通り(Socilabakers調査)

【アメリカ】

  • 世界1位で、利用者数約1億6,000万人
  • 人口普及率約51%
  • 利用者のうち48%が18歳から34歳
  • 男女比 45:55

【カナダ】

  • 世界13位で、利用者数約1,710万人
  • 人口普及率約51%。
  • 利用者のうち50%が18歳から34歳
  • 男女比 46:54

 今回の取組みによって、Facebookというソーシャルメディアを活用して、多くの人にリーチできるメリットもあるだろう。また、カウンセラーとコミュニケーションをとることで、自殺を思い留まってもらうことも期待できる。

 報道されることも多いのでご存知の方も多いかもしれないが、日本では自殺者数は、1998年から2010年まで毎年3万人を超えている。(平成23年3月発表 警察庁統計資料より)ここ12年間で合計36万人以上の方が自殺していることになる。この人数は東京都品川区の人口に匹敵する。
またWHOの統計によると、人口に対する自殺者比率が日本は世界5位である。(リトアニア、韓国、カザフスタン、ベラルーシ、日本の順)
警察庁の発表によると、東日本大震災の死者数が約15,000人である。日本では毎年その2倍以上の人が自ら命を絶っていることになるのだ。ご冥福をお祈り申し上げると共に日本人として、この事実を忘れてはいけない。

 日本では代表的な取組みとして、「一般社団法人 日本いのちの電話連盟」がある。他にも様々なNPO団体や自治体が自殺防止に取り組んでいる。

 ソーシャルメディアは、多くの人が集まるネット上のプラットフォームの役割を果たしており自殺念慮を抱く人たちの「早期発見」、「予防対策」、「コミュニケーション」のツールとして活用できることに期待されている。もちろん「リアル」な面からのサポートも忘れてはならない。
今後、日本だけでなく世界各国の様々な取組みによって、自殺防止に繋がることを期待したい。
2011年は多くの日本人が「命の大切さ」を考えさせられた1年であった。

*本情報は2011年12月14日時点のものである。

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