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2012年1月6日掲載 |
KLMオランダ航空が、座席予約時にSNSのプロフィールを見て、隣の席に誰が座るかを選べる「Meet & Seat」サービスを2012年に導入するとInternational Business Timesが2011年12月14日に報じている。KLMオランダ航空によるソーシャルメディアの活用をみていきたい。 Meet & Seat:座席選びの新たな選択肢としてのソーシャルメディア 「Meet & Seat」サービスでは、搭乗客がフライトチェックイン情報と自分のSNSのプロフィールをリンクさせることができる。プロフィールを見て、自分と趣味が合った人、職業、ルックスなどから隣の席を選ぶことができるようになる。プロフィールを見られたくない場合は、非公開という選択肢も選べる。KLMのスポークスマンMina Jarvis氏によると、2012年初頭に開始予定だが、詳細な情報はまだ公開されていない。 フライトの予約がインターネットでできるようになったが、1998年頃からである。これは非常に画期的なことであった。それまでは旅行代理店や航空会社に電話して確認しながら予約をしていた。電話できる時間も限られていたし、非常に面倒だった。今ではインターネットで簡単に予約ができる。空席情報、フライト情報も全てインターネットで確認できるようになった。チケットレスサービスも今では一般的になった。インターネットで予約できるようになって旅行のスタイルも産業構造も大きく変わった。そして2012年からは、フライトの予約に更に「ソーシャルメディア」による隣席の人の選択もできるようになる。リアルとネットの世界を融合させてきているという点で画期的な一歩であろう。ソーシャルメディアはネットの世界だけでなく、リアルの世界でフライト予約時の事前情報になろうとしている。 KLMとソーシャルメディア:「Fly2Miami」KLMでは2011年3月21日からアムステルダム(オランダ)〜マイアミ(アメリカ)間のフライトを就航した。このフライトは、2010年10月、マイアミで開催される「Ultra Music Festival」に参加するのにマイアミに行く直行便がほしい、という音楽ファンのTwitterでのつぶやきが発端となった。このつぶやきに対してKLMは「満席になるなら飛ばす」とのレスしたところ、40時間で426の予約があった。(当然満席である)音楽ファンらは「FLY2MIAMI」というサイトも立ち上げて仲間たちへの呼びかけも行っていた。これによってアムステルダム-マイアミ間は就航に至った。なお、同フライトでは、パーティーを機上で行い「世界で一番高い場所でのパーティー」としてギネスブックに認定された。 KLMはソーシャルメディアを営業ツール、顧客とのコミュニケーションツールとして非常に積極的に活用しており、TwitterやFacebookでは顧客の書き込みに対してこまめにレスをしている。YouTubeには様々な動画を掲載し情報発信している。顧客との関係を重視しているのがよくわかる。マイアミへのフライト就航を実現させたTwitterによる集客力をKLMも自身のブログにてソーシャルメディアのパワーを感じているとコメントしている。 マイアミは冬が物凄く寒いオランダの人々にとっては憧れのリゾートの1つである。このようなソーシャルメディアのプッシュがなくても、フライトは実現していたかもしれない。しかし、就航に向けての決断の1つになったことは間違いないだろう。KLMは機体に自社のURLを明記して利用者をサイトへ誘導するような努力も行っていた(図1)。 欧州の航空産業は、数年前から再編が進んでいる。KLMも2004年5月からエアーフランスと特殊会社方式で経営統合が行われ、共同経営が開始された。KLMは第一次大戦後の1919年に創設された歴史あるキャリアであるが、顧客獲得のために様々な努力もしている(図2)。 【参考:KLMのソーシャルメディア】 (図1) "The World is just a click away!"(KLMオランダ航空) (図2)スキポール・アムステルダム空港でのKLMの展示。 【参考動画】 【参考動画】 *本情報は2011年12月28日のものである。 |
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