ホーム > Global Perspective 2012 > |
![]() |
2012年12月28日掲載 |
2012年12月17日、国際連合世界食糧計画(United Nations World Food Programme:以下WFP)は、アフリカのマラウィにおいて現地通信事業者Airtel Malawiと提携してモバイル送金による食費支援を開始することを発表した。 携帯電話配布とモバイルマネーによる食費支援マラウィはアフリカ東南部に位置する国である。現在マラウィでは干ばつの影響で食費が高騰し、食料を購入できない貧しい人が多く登場し、問題になっている。マラウィ政府によると1億ドルの支援が必要だと報じられている。今回政府とWFPは47,600トンのメイズ(トウモロコシ)を2013年3月までに提供する。食糧であるメイズを用意しても、それらを購入できるお金がなくては仕方がない。そこで、WFPは現地通信事業者Airtel Malawiと提携してモバイル送金による食費支援を開始することを発表した(※1)。UKAID(英国)も協力している。 モバイル送金による食費支援は以下のような仕組みである。
今回のWFPの取組みでは、まずは10万人に携帯電話を配布するが、現在マラウィには200万人が食料支援を求めていると報じられている(※2)。今回のWFPの支援でもまだ10%にも満たない。 マラウィ携帯電話事情:低い普及率マラウィは人口が約1,500万だが、携帯電話加入者数は約400万である。普及率は約26%。 周辺のアフリカ諸国と比較すると普及率は低い。主要な携帯電話事業者はAirtel MalawiとTelekom Networks Malawi (TNM)である。 ライフラインとしての携帯電話上述のようにマラウィではまだ携帯電話の普及率が低い。周辺のアフリカ諸国では1人で複数枚のプリペイド方式のSIMカードを所有することから、携帯電話普及率が100%を超えている国が多数ある。
今回のWFPとAirtel Malawiのモバイル送金による食費支援で初めて携帯電話を所有するという人もマラウィでは存在するのではないだろうか。携帯電話を通じて食費の支援を受けるだけでなく、新たなコミュニケーション手段を入手することにもなるだろう。それに伴って様々な情報を得たり、発信することも可能になる。 現在マラウィでは携帯電話が食費支援という『Basic Human Needs(ベーシックヒューマンニーズ)』の提供で活用されている。携帯電話はコミュニケーションのツールであると同時に「食費がないから食料を買えない人々」を救う重要なライフラインでもある。 食料危機が早期に回復することを祈願する。現在、全世界で約8.7億人(約8人に1人)が慢性的な栄養不足に苦しんでいる(FAO 2012年10月)。世界にはまだ食事ができない人がたくさんいることを忘れてはならない。 (図1)マラウィのメイズ(トウモロコシ) ![]() ※1 WFP “Malawi: Poor Farmers Get Cash Through Mobile Phones” (2012年12月17日) ※2 The Malawi Post “Rising Maize prices and poor harvests threaten Malawi with food insecurity” (2012年12月18日) http://www.maravipost.com/life-and-style/people/2530-rising-maize-prices-and-poor-harvests-threaten-malawi-with-food-insecurity.html 【参考動画】 (参考)コートジボアール:国連・WFPのモバイルを活用した食料援助への取組み *本情報は2012年12月27日時点のものである。 |
▲このページのトップへ
|
InfoComニューズレター |
Copyright© 情報通信総合研究所. 当サイト内に掲載されたすべての内容について、無断転載、複製、複写、盗用を禁じます。 InfoComニューズレターを書籍・雑誌等でご紹介いただく場合は、あらかじめ編集室へご連絡ください。 |