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2012年3月24日掲載 |
2012年3月4日、クウェートに本拠地を置く通信事業者グループZainはWindows Phoneの普及促進でマイクロソフト社と提携したことを発表した。また両社はZainユーザ向けの専用アプリケーションを開発し2012年後半にリリースする予定である。 Windows Phoneの置かれた厳しい状況今回のZainとマイクロソフトの提携では、具体的な端末モデルや販売台数のコミット、Zain向けアプリケーションの詳細には明かされていない。 マイクロソフトのWindows Phoneは、スマートフォンのOSの中でもiOS(iPhone)やAndroid OSと比すると後塵を拝している。 2011年の全世界でのスマートフォン出荷台数は、4億9,140万台である(IDC 2012.2)(表1)。OS別にみるとAndroidが48.8%、iOSが19.1%であり2大OSでスマートフォンOSシェアの約7割を占めている(Canalys 2012.2)(表2)。Windows Phoneはシェア1.4%(約680万台)で前年比では43%マイナスと非常に厳しい状況に置かれている。 2011年2月に世界最大の携帯電話メーカーであるノキアは自社の「Symbian OS」からスマートフォン向けにはWindows Phoneを活用することでマイクロソフトと提携した。2011年後半から同社はWindows Phoneを搭載したLumiaシリーズを市場に投入してきた。 2011第4四半期の全世界でのWindows Phoneの出荷台数は270万台で、ベンダー別にみると全出荷の3分の1を占める90万台がノキアからの出荷で、残り180万台は他ベンダーからの出荷である(Strategy Analytics 2012.2)。また現在35言語に対応しているWindows Phoneだが、今後さらに85言語を追加して120言語に対応することを予定している。これによって世界の主要な言語は対応することになる。 (表1)2011年世界スマートフォンメーカー出荷台数とシェア
(表2)2011年世界スマートフォンOSシェア
IDCによると2015年にはWindows PhoneがiOSを抜いてスマートフォンOSシェア第2位(20.9%)になるとの予測もある(IDC 2011.3)。 Zain概要クウェートに本拠地のあるZainグループは以下の7カ国で事業展開を行っている(表3)。7カ国で約4,200万の加入者がいる。NTTドコモが6,000万であるから決して大きいとは言い難い。またこれらの国ではプリペイド式の2Gのみ対応したSIMカードを複数持つ利用者が多いため、これらの利用者全員がWindows Phoneにシフトすることは考えられない。 (表3)Zainグループの事業展開
Zainが事業展開している中東地域ではノキアの人気は非常に高い。しかし市場に出回っているノキア端末のほとんどが電話とSMSのみ対応した廉価版フィーチャーフォンである。スマートフォンではBlackberryなどの人気が高い。 Windows Phoneはエコシステムを構築できるか現在のスマートフォン市場は、Android OSとiPhoneに席捲されている。アプリケーションも端末もこの両OSを中心にエコシステムが構築されている。スマートフォン市場においては利用者、端末、アプリケーションが揃ってエコシステムが回る。 今後もマイクロソフトと通信事業者の提携は増加するのではないだろうか。通信事業者のもつ加入者や販売網を活用したセールス、専用アプリケーションは同社にとっても魅力的である。今回のZainとの提携はその布石だろう。 さらにはWindows Phoneを搭載したスマートフォンを製造してくれる端末メーカーの開拓も重要になってくる。対応端末がなくては利用者にリーチする術がない。端末メーカーをいかにWindows Phone開発の土俵に引き込めるかが今後のマイクロソフトの重要な任務になってくるだろう。ライセンスの在り方など検討すべき項目は多々ある。 通信事業者との提携によってWindows Phoneはスマートフォン市場でのシェアを挽回できるのであろうか。引き続き注目していきたい。 *本情報は2012年3月14日現在のものである |
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