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Global Perspective 2012
2012年4月2日掲載

ポルトガルTMN:モバイルウォレットへの取組み〜更なる利便性の向上を目指して

グローバル研究グループ 佐藤 仁
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 2012年3月20日、ポルトガルの通信事業者TMNがモバイルウォレットのトライアルを開始することを発表した。

更なる使い勝手の良さを目指して

 同社では11,000人の従業員が3ヶ月間のトライアルを行う。クレジットカード、PayPal、ポルトガルの銀行MULTIBANCOの利用者であれば 「TMN Wallet」のサイトで登録してから以下の4パターンでの利用が可能。

  1. NFC対応の携帯電話でPINコード入力する方法
  2. SMS(無料)で「pay」と送付後、コード番号をSMSで受信し、その番号を入力する方法
  3. お店に設置してあるリーダーライターが発行した番号をUSSD経由で入力する方法
  4. TMN Walletのアプリを起動しQRコードが出てくるので、それをお店のリーダーライターで読み取る方法

 利用者は携帯電話または「TMN Wallet」のサイトで利用履歴や残額の確認ができる。
NFCの技術サポートはHuaweiとIncardが行う予定。

 2012年3月時点では具体的な商用開始時期、提供店舗などは決まっていない。
TMN walletの利用方法は上記の4パターンあるが、日本での「おサイフケータイ」の利用と比すると、どれも利便性が高くない。お店で商品購入前にSMSの送受信をする、電話機をかざしてから、更にPINコードを入力する、アプリを起動してQRコードを読み取るなど手間が多そうだ。TMNはビジネスモデルを公表はしていないが、使い勝手の良くないサービスでは利用者への訴求が難しいだろう。モバイルウォレットのウリはジャラジャラとした小銭を用いなくても簡単に買い物ができる利便性の良さである。サービスの原点を見つめながら、今回のトライアルを通じて利用者にとって使い勝手の良いサービスのローンチすることを期待している。

(図1)TMN walletを利用してベンディングマシンでコーヒーを購入
(図1)TMN walletを利用してベンディングマシンでコーヒーを購入
(写真提供:TMN社)

ポルトガル携帯電話事情

 ポルトガルの携帯電話事情を簡単に見ていきたい。
 携帯電話加入者は約1,730万人。携帯電話加入率は、約162%(2011年12月)
3Gの普及率は29%

  会社 シェア
1 TMN 42.7%
2 Vodafoneポルトガル 36%
3 Optimus 21.3%

(参考)ポルトガルテレコム(TMN)の海外展開
TMNの母体であるポルトガルテレコムは下記諸国(旧植民地の国が多い)で現地企業の株式を保有している。大きな収益源ではない。

国・地域 企業 保有株比率
ブラジル Dedic GPTI 87,5%
アンゴラ Unitel 25%
モロッコ Medi Telecom 32.18%
ナミビア MTC Namibia 34%
カーボベルデ CVT 40%
サントメ・プリンシペ CST 51%
ケニア KPD 60%
モザンビーク LTM 50%
ハンガリー HDT 44.62%
マカオ CTM 28%
ティモール Timor Telecom 41.12%

*本情報は2012年3月25日時点のものである。
情報および写真提供に協力頂いたTMNに感謝申し上げます。

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